始まっちゃったぞ~
タイル貼りはまだ早いと思うのだが、手詰まりになったエンボイ組が始めた。
フウテン一家のねぐらになるべき部屋の床が、始まった。
担当はテクニックNO.1のロッキーだ。
このタイルは渋い柄で、安価だったので採用した。
ロスを減らすため全てのベッドルームはコレで統一する。
実は床のタイルは、床を汚す可能性のある他の工事が済んでからでないと、タイルに傷が入ってしまうのでしたくない。
フィリピンでは、”養生して”・・・ということが無いからだ。
セメントくずや釘で、引っかき傷だらけになる。
しかしマァ、全部「ダメダ」、「ダメダ」と言うのも可哀想だし、タイル貼りの腕も見てみたいので、やらせておくことにした。
そうこうしている内に2階のトイレシャワーだ。
トイレの壁用のタイルは、チョット代わったデザインをこの前セブで選んで買ってきた。
担当はエリックとジェームス。
(シャワールーム担当のエリック)
(トイレ担当のジェームズ)
セブ市で買ってきた文明の利器『サンダー』が、タイルカットに活躍する。
壁からスタート。垂直を採って糸を張り一枚ずつ張っていく。
ヘタではないが、とても時間がかかる。
そこはフィリピンだからしかたない。
決して広いとはいえないトイレの壁に丸3日間かかり、ジェームズは床タイルを始めた。
しかし、チョットこれも見て欲しい。
床のタイルの下地の厚みだ。
写真では分かりにくいが、スラブ(床)からタイルまで、3~4センチある。
下地は、砂を混ぜずにセメントの粉だけを練る。
ということは、セメント一袋で、タイル4枚くらいしか貼れないという計算になる。
セメント一袋は今183ペソ(約475円)。
日本米もどきが1キロ100ペソ(260円)、フィリピン米なら1キロ30ペソ(80円)前後の物価だ。
(*以上は2008年5月頃のプライスです)
ベラボウだ。
何故そうなったか?
下地の床が水平じゃないし、平らでもないから。
中央部分が下がっているから、糸で水平を出してタイルを貼ると、壁の近くは薄い下地が中心に近づくと厚くなるのだ。
もとはといえば、型枠とスラブのセメント打ちが、いい加減だからなのだ。
いい加減な仕事のツケは、あとになって回ってくるものだ。
しかし、先の先を考えて今の仕事をするというのは、熱帯に住む人たちには理解できないようだ。
熱帯では、昔から、冬に備えて食糧を備蓄するとか、薪を貯めておくという生活習慣が不要だからだろう。
これは温帯より北に住む人間の発想であり、文化だ。
セブのド田舎で暮らす人たちに教え込むのは、難しいのだ。
エンボイに、「このザマはナンだ?」と聞くと、厚いから床がすごく丈夫になるんだ、と答えた。
ここは相撲部屋ではない!
フィリピン人にも『世界一』がある。
”言い訳世界一”だ。
虐げられた民族は、言い訳が命がけだからか。
日本人など足元にも及ばない。
フウテンが、かつて日本で新人サラリーマンだった頃。
朝、会社に数分遅刻した。
先輩:「なんで遅刻した~!」
ヤングフウテン:「すいませ~ん。電車が遅れちゃって~。」
先輩:「ナニ~!、いいわけするな~!」
ヤングフウテン:「すいませんッ!(・・・でも理由を聞いたのは、そっちじゃない)」
なんて事があった。
この国の人たちは、スイマセン「アイムソ~リ~。」などとは、口が裂けても言わない。
特に本当に悪い場合には。
この国で「ソ~リ~」という言葉は、皮肉とか、押し付けがましい行為を要求する場合なんかによく使われる。
5日後、思ったとおり、タイルを貼るそばから汚れ、上を職人達が歩く。
床タイルはひと部屋だけで、早々に止めさせた。