石の壁・・・①
(ウチの前の道路、クソ暑い昼の日差し。村人は家でゴロゴロし、夕方から出歩くのだ)
「”秘密兵器”を集めろ~。」
工事のヘルパー数人に指示した。
秘密兵器と呼ぶのは、チョット大袈裟かもしれない。
私フウテンが、勝手にそう呼んでいるのだ。
兵器と呼ぶからには、相手を脅したり傷つけたり、「オゥラ~!」と威張ったりしないとならないが、当然こちらは、そんなことはこれっぽっちも無い。
フウテンの言う秘密兵器は、フウテンらしく、建築費を節約するための”秘密兵器”なのだ。
(これである)
タバコではない。
(ウチのビーチの石ころ)
無数にある。
これをちょっと拝借するのだ。
始めてこの海を見たとき、この石ころは利用できると直感した。
その思いを可憐な少女のようなフウテンの胸に収め、機会を狙っていたのである。
建築をしていると、あそこはどうする? ここはどうする? というクエスチョンと云うか
問題が、大小含めて常に出てくる。
判断を迫られるのだ。
自分で自分に出す”Q&A”だ。
すぐに決めないといけないこともあるし、時間にゆとりのある場合もある。
大抵は、奥様Mと相談して二人で決める。
フウテンが決めた場合でも、奥様Mの意見を聞く。
奥様Mあってのフウテンだからだ。
しかし、奥様Mにはすぐ言わず、フウテンの腹で暖めてから、『ヨシッ、いける!』と決めて<大本営発表>となることもある。
今回がその例である。
”クラブハウスのラウンジの壁にこの石を張り巡らす”・・・というプランだ。
海辺の石の中から、平たい奴を選んで集める。
100個集めるのに、10分もあればいいので簡単だ。
色、形、大きさが多少違ってもいい。
かえって、ワイルドさというか、自然観が出てGOODだと思う。
大事なのは”平たい”という事。
集めたら石の本来の色を出すために、希塩酸に10分ほど漬ける。
それを壁にセメントで埋め込んでいくのだ。
こういう自然石というのは、有るところではただ同然だが、それが無いところでは非常に高価だ。
(ちなみにウチの玄関アーチに貼るキャニオンストーンは、1300ペソ(3500円)/㎡=10数年前当時の価格 もする。)
セブ島は海底が隆起してできた島だ。
石灰岩のような白っぽい岩、白っぽい石だ。
それがうちのビーチでは、アミハンという季節風の時期に波にもまれ、丸くなるのだ。
そう云えば、このフウテンもこの10ウン年(=当時で)フィリピン人に揉まれて?、丸くなった。
(かなりイビツな丸さで、ごめん。)