エクステリアのバルスター
(近所の民家のテラスのバルスター)
テラスは、大抵は家の入り口の横(玄関ポーチ)にある。
家族や近所の人が集まり、飲んだり食ったり、ゲームやおしゃべりしたりする、社交場でもある。
セメントのまま、塗装していないので見栄えは悪い(かも知れない)。
バルスターの上のセメント部分に、人が腰かける。
20年も経つと、人の脂と汚れで黒光りしてくるのだ。
『バルスター=baluster』という言葉は、日本ではあまり馴染みがないようだ。
和約をみると、=『手すり子』?・・・ホント?、知らない言葉だった。
セメントバルスターの2階テラスやベランダ、玄関ポーチ、階段などがある家は、そりゃ東京あたりでは億の値段が付いているだろうから、住む人もそれなりの収入のある人であろう。
だから私ごとき、ろくでなしのフウテンなどは、金輪際、縁がなかったはずだ。
ところがどっこい、ひょんなことでフィリピンそして当地セブに来て、バルスター様とお付き合いできるようになった。
フィリピンでは、極貧民層は別として、そこそこ安定した収入のある家では、バルスターのポーチぐらいは、だいたいもれなく付いているのだ。
ついでに言うと、家の広さも結構なものだ。
よく聞く話に、金持ちのはずの日本人がフィリピン人の家を訪れて、「この家のリビングにオレの家がすっぽり入る。」などと感心したりする。
が、確かに月収2~4万ペソ(5~10万円=10数年前当時で)もあれば、フィリピン(の地方)では100~200㎡くらいの家には住んでいるのだ。
(但し日本の家のほうが、狭くても小ぎれいで、高価な物がたくさん詰まっている。)
50年も前に、日本の住宅は『ウサギ小屋』であると、くちさがない外国メディアが伝えたが、今にいたっても大差ないかも。
さてさて、クラブハウス2階テラスのバルコニーだ。
計画の当初から、私はそこにボロ屋のアイアングリルを転用するつもりだった。
サビを落としペンキを塗れば、いい味が出ると思う。
上が前にも紹介したが、ボロ屋の鉄製のグリル、約50年を経ている。
ハンドメイドだ。
そしてこのプランは、つい最近まで奥様も承認していた。
♪あぁ~、それなのに、それなのに、ネェ♪・・・(この続きを知っている方はフウテンよりお年が上です。)
・・・ここに来て、『あれじゃ、ヤダ~。』と言い出したのだ。
女はかってな生き物だ。
大東亜戦争末期に日ソ不可侵条約を破り、満州に進行してきたソ連赤軍と一緒だ。
裏切りロスケ、鬼畜米英だ!
しかし,私は奥様あってのフウテン。
私はアヒンサー、マハトマー・ガンジーだ。
一切の抵抗無しで、「イエス、マーム!」と即座にセメントバルスタープランに賛成した。
早速、あちこちにバルスターの値段を聞いてみる。
言ってみればセメントの棒(鉄筋入り)であるから、重過ぎて自分で買いに行き持って帰ることはできない。
いつもの資材店では一本120ペソという。
サンプルを配達のついでに持ってくるよう頼んだ。
そうこうするうち、近所のおばさんのような早耳エンボイが、
『ロッキーがバルスターを自分で作って売ってるぞ。一本80ペソだ!』
と言ってきた。
ロッキーといえば、シルベスタ・スタローンじゃなくて、何度か書いているウチの左官のNO .1だ。
資材店から3タイプのサンプルが来ると、エンボイがちょちょっと近づいてきた。
私が聞きもしないのに・・・
『ダメダこりゃ、表面がスムースじゃないし、高~い。』
『ロッキーのは、表面がなめらかだ。』
とあたかもロッキーの営業マンのように売り込む。
全く面白い男だ。
それともコミッション狙いか?
ロッキーは正統派の職人らしく、ついては来たが、ほとんど喋らない。
エンボイの言葉は当てにならないので、私がロッキーに聞くと、
『俺のほうが滑らかに出来るし、デザインも多いだろう。』
と小声で控えめに言う。
ヨシ、決まり。
もともとロッキーはクラブハウスの工事が終わっても確保したい人材なので、彼に儲けさせる事にした。
バルコニーに何本使うか見積もると、21本。
一本の予備を加え、22本、=1,760ペソ(約4,400円)=全部当時のレートです。
これに、レールとベースの鉄筋&セメント、ペイント、型枠用ベニヤなどの材料費と人件費を計算すると13,000円(=無論10数年前レート)以内か。
フ:「ロッキー、明日サンプル持ってきてくれ。」
そして持ってきたのがこれだ。
次回に続きます。