バスが宅急便?
(某年某日)
私は現場からバスで35分の所に住んでいる。
乗り合いバスは、セレスとサンレイズという会社があり、セレスの方が会社が大きい。
そのバスでせっせと現場に通っているのだが、私はまあ3日に一回ぐらい、現場滞在2時間というところか。
奥様Mも交代で行っている。
先日こんな事があった。
現場から、「(鉄筋を切る)金ノコの刃がもう無い」と連絡があった。
電動工具など使ってないので、鉄筋棒はすべて金ノコで人力で切るー――日本の現場からするとスゴイ事だと思うが。
私のところには、常に買い置きのノコ刃はある。
すぐ持って行きたいが、今日は行けない。
どうしたか?
まず走ってくるバスを停めるけど、乗らない。
そしてコンダクター(車掌)にたのむ。
「ここから35分行ったこういう所のこんな人に、これを渡してくれ」と、ノコ刃を預ける。
これで届くのだ!
もちろん、知り合いだから無料!
フィリピン万歳である。
日本でも一度試してみたい気がするが、むりだろう。
この国でもある程度のコネが無いと、図々し過ぎて出来ないことだ。
ところが・・・。
悪いことに今回は現場の人間が、そのバスを停め忘れて受け取りそこない、金ノコの刃は140キロを旅して、終点のセブ市まで行ってしまったらしい。
そうなると行方不明だろう。
高い物じゃないし、想定内だったので、あきらめていた。
しかし、翌日朝、たかが金ノコの刃が私の手元に戻ってきた。
どういう経路なのか廻り回って、戻ってきた。
セブ市まで行ってまた戻ってきたのだ。
私は現場のスタッフに、車掌は現場の場所がわからないから、何時何分頃に通るバスを停めて受け取れと携帯でメールしておいたのだが、現場の者は、バスが勝手に止まって車掌が持ってきてくれると思っていて停めなかった(まぁ、忘れた言い訳でしょうが)と言う。
よくあるミスコミニュケーションだ。
しかしそれにしても戻ってくるとは・・・・
この国のこういうところが、良いところでもあるし、実は悪いところでもある、と私は思う。