石壁と奮闘・・・後編
(石をひとつずつ綺麗にしていく・・当然手作業)
(ラウンジの壁石の数は約5~6千個)
いくらフィリピンでも、これはちょっと気が長すぎる。
いっそのこと、上から全面ペンキを塗ってしまおうかと考えた。
それでも凹凸があるので、石の模様は出るだろう。
奥様に相談すると、『プランは変更しないで』という。
そこでフウテンの自信がやや蘇えった。
ナントカしないと・・・。
何とか当初のプランどおりの美しい石壁を完成させる為、知恵を絞った。
悩んだ。
そして、その石壁の石をひとつひとつサンダー(電動グラインダー)にやすりを取り付け、磨かせることにした。
その5000個以上の石をだ。
これがサンダーに付けるやすり。
30年前(2021現在からだと45年前)は無かった。
以前見つけて、面白そうだったので買っておいた。
(その後、大活躍することになる。)
値段は、上の本物のメーカー品が49.75ペソ(125円)。
下のバッタモノの中国製が19.75ペソ(50円)、この差は大きい(値段は当時の価格です)。
どうせ消耗品なので、中国製で問題ない。
こうやって、1個1個の石を磨いていく。
(ヨッ、色男!)
(ヘルパーの一人であるエリックの義父を担当にした)
彼は長いスパンの仕事を得て喜んでいるが、彼の肺は、石の粉だらけになるに違いない。
防塵眼鏡とマスクを渡しても、強がり?なのか・・・使わない。
この石磨きに、彼1人で12日間かかってしまった。
マァ見られるようになって一安心、本音を言えば、妥協点だ。
壁全体に『ACRYLIC EMULSION=アクリリックエモルジョン』のクリアカラーを塗って光沢を出す。
(これがアクリリックエモルジョン)
日本にも有ると思うが、室内壁のレンガや石に光沢を出すにはこれが一番。
わたしはフィリピンに来てその存在を知った。
水性のニスのような物だ。
説明では屋外でも使えると書いてあるが、長時間水に濡れると塗装面が白く曇るので、私の経験では屋外には向かないと思う。
安価で水溶性、塗りやすい。
塗装係りは、ちょっと手が空いたロッキーとジェームスで、1日で2回塗り終了した。
これでどうにかカッコウがついた。
ホット胸をなで下ろすフウテンであった。
(画像はロッキー)
ロッキーは左官名人だが、壁という左官仕事つながり?でペインターをやってもらう。
私の本音は、左官仕事の無い今、ロッキーを手放してしまうと、他の現場にすぐ彼を取られてしまうからだ。
こんな田舎じゃ、彼のようなウデのある職人は貴重な人材だから、何か仕事をわたして繋ぎとめておきたいのだ。
無論、給料はヘルパーのそれではなく、マソン(左官)のテクニシャン(技術者)のままで。