ヤシ殻からアレを作る・・・前編
クラブハウスの2階バルコニーから見た、椰子林の上の朝焼け。
ここからは、朝焼けと夕焼けが見れる、毎日ではないが。
さて、前に採ったヤシの実を、8つばかり別にしてとっておいた。
2週間ほどして、程よく乾燥した。
私の目的は、このヤシの実の内側の堅い殻(セブ語でバゴルというらしい)を使って、”ランプシェイド”を作りたいのだ。
バゴルは、厚さ5ミリ大きさ10数センチほどの中空の球形。
硬質プラスチックのように堅く、しかも表面は深みのあるこげ茶でイカシてる。
これ半分に切って穴を開け、ソケットを取り付け、照明を作りたいのだ。
ネイティブ風なコテージにはマッチすると思う。
管理人のオバチャンに「ヒマな時に実を割って、バゴルを取ってくれないかい?」
と言ってみると、
「イエスサー、今すぐやるから。」と答える。
「エッ、今すぐでなくても別にイインだけど・・・。」というと、
「今すぐやる、その代わりバゴルだけ必要なら、コプラ貰ってもいい?」
ヤッパリだ、そういうことだ、目当てはそれだ。
だいたいこの国の人が自分から進んで、何か仕事をするという時には、ウラがあると見てよい。
チャッカリしてるのだ(そうでないと、ここでは生きていけない)。
ヤシの実を山刀で剥いていく。
こういう状態にする。
剥いた皮は多用途だが、ここらではもっぱら燃料となる。
割ると中はこうなっている。
この真っ白い部分がコプラ(果実の胚乳部分)だ。
コプラは、マーガリンなどの加工食品や石鹸、蝋燭、ココナツオイルなどの原料になる。
田舎の人々にとって貴重な資源であり、収入源だ。
日本人はヤシの実というと、ジュースを飲んで「ア~、オイシイッ!」でおしまいの場合が多い。
フィリピン人は果汁よりこのコプラが目当てだ。
ヤシの木を数多く所有している人は、天日に干して乾燥させたこれを売って、現金収入を得るのが一般的だ。
相場があり、価格はかなり上下するので高い時に売るのが好いのだが、最高値を狙うと今度は値下がりするので難しい。
今回は売るほど量がないので、ウチのオバチャンはコプラでオヤツを作ろうとしている。
それが証拠に、慌ててモチ米を買いに行っちまった。
『仕事中』という意識など無いのだ。
あんまり給料も払ってないし、しかたないか。
第一こんなノンビリしたところで、アクセク働く私の方が、どうかしているのだ。