ハウスリーフの海中から岩を・・・後編
左端の紅白Tシャツが、棟梁エンボイだが・・・・
皆バラバラの方角を見ている。
私は心理学者ではないが、経験からして、こういう時は、モチベーション、いわゆるヤル気が無い時なのだ。
(こんなの運ぶのかよ~、どうやって? おれ達がナゼ~ッ?・・・てな感じ。)
私はチームに、あらためて説明し、方法を提示し見せる。
岩にロープを掛ける。
丸太を通し、バランスチェック。
ちなみに、右端の黒上下は私です。
ウチの敷地の前まで、エッチラオッチラ。
(私は加わらずに、こうやってカメラで撮っていると、彼らの力は2割増しくらいになるのだ)
上は今回最大の岩。
丸太をクロスさせ2本使った。
やっと持ち上がる。
これらの岩は、ウチの岸壁前に埋めて消波ブロック代わりに利用する。
建築における私の方針=利用できるものは、何でも使う。
小さい岩は、押して転がす。
近所の人々(画像右側の人々)もこんな干潮時は、ビーチで食料調達。
これは日本でも、どこの国でも同じ本能的な行動だ。
ウチの連中も、一所懸命やっているようだが、合間にアワビ、巻貝、蟹など食料をゲットしている。
大きなアワビが取れたりすると、興奮状態、仕事そっちのけ。
石運びはスコ~ンと頭から飛んでしまう。
そこで私が目くじら立てると、大人げないし、うまくいかない。
ここは熱帯のセブ島だ。
笑ってやって、一緒になって遊ぶくらいの余裕がないと、務まらない。
私は、むしろ彼らとこの国の風土の、お世話になっているのだし。
結局その日は、午後4時から日暮れまでに、全部の岩は取り除けなかった。
(7人で、たった10数個の岩なのに・・・)
ビサヤ(フィリピン中央部の言葉)語で云う、『オグマ』でおしまい。
オグマとは、『あした』。
(マニラなどのタガログ語だと『ブカス』)
つまり、『明日にしよう』という事だ。
しかし、日本でも『今度とお化けは、出たためしがない。』と言われるように、この国の『オグマ』も、なかなか来ない。
特にこの場合は、当分無いことは疑いない。
なぜなら、次にこんなに潮が引くのは、データでは約1ヵ月後だから。
(しかも潮位はこの日より少し高い)
こんな時、少しカリカリしてしまう私は、フィリピン人が羨ましい。
今日できる事は、今日やる。
明日する事も今日やってしまえば、明日はまた次の事ができる。
そう教えられ実践してきた世代、年代は、おそらく日本人でも私らぐらいまでだろうと思う。
その世代でも、特に私はセッカチなほうだ。
だけどそんな私も、今じゃフウテンおやじ。
もうそんな気力は、ちょっとやそっとでは出てきゃしない。
彼らが帰った後、私もビーチを去った。
「オグマ・・・オグマだ」
もう飲んで喰って寝て、また明日、明日できることをするだけだ。