ルーティンワークに少々ウンザリ
ウチの前のビーチ、画像の左枠の外はウチの岸壁です。
遠浅で穏やかな海だ。
さてある朝、いつもの朝のこと。
7:00AM、作業開始。
私:「グッ、モ~ニン!」
×12回。
スタッフ(だいたい)一同:『グッ、モ~ニンサ~!』
スタッフA:『サ~ッ、(SIR~)!あそこのタイルはどのタイル使うんだ~?」
「まて待て~」
と私は言いつつ、資材小屋に行き埃にまみれて、ガサゴソとタイルを物色して、
「このところはこのタイル、こっちはこのタイルを貼ってね。前みたいに上下間違えるんじゃないよ、こっちが上、オーケー?」
『オッケー、サ~。』
この言葉を聴き終わる間もなく、別の職人が、
『サ~ッ!紙やすりクンロ~ッ!』
私:「何に使うんだ。」
B:『軒下の板に使うんだサ~ッ!』
私:「わかった、何枚ほしい?」
B:『2、いや3枚サ~ッ!』
私が、クラブハウスのストックルームで紙やすりを準備していると、外から。
C:『サ~ッ!〇〇のペンキとリデューサー(溶剤)欲しいんだけんどサーッ?』
私:「いま、ちょっと待って!」
さっきの紙やすりを渡してから・・・
私:「ナニ~! 何処に塗るペンキ?」
C:『サ~ッ、この前サ~、言ってたサ~ッ、屋根の角材の塗りなおしのペンキ、サ~ッ。』
私:「オ~ケ~、ちゃんと買ってあるよ、ちょっと待って。」
とストックルームの10数種類、50缶以上の中から取り出し渡す。
私:「似たような色が無かったから、近い色のを買ったんだけど・・・、塗る前に混ぜて色見てよ。」
(ペンキはよく混ぜないとホントの色が出てこないし、乾くと色は変わる。)
「リデューサーはペイントシンナーでイイね。」
現場に戻ると、
屋外トイレの、屋根の上から声が・・・
『サ~ツ!〇×〇×買ってよサ~。』
私:「〇×〇×、ってなんだ~。」
D:『ここの屋根のところは普通の屋根釘じゃ届かないんだ、サ~ツ!』
『だから先に長いハリガネの付いたのが必要なんだっサ~ツ、それが〇×〇×でサ~ッ。』
私:「どのくらいいるんだ。」
D:『1キロ、サ~ッ!』
高くつくがたったの1キロだし、急ぎなので、村の金物屋に管理人のオバチャンを買いに走らす。
先ほどのペンキを見に行くと、やはりかなり色が違うのでこのままでは使えない。
(でも既に塗っちゃっている、黒に近いこげ茶の所に、紫っぽい茶色を重ね塗り。)
私:「(ったくも~)ソリャ、ちょっと無理があるんじゃない?」
「同じクイックドライ(エナメルペイント)の黒があったろ~。混ぜて色を濃くしてみたら~。」
「そのままじゃ、みっともないだけだから・・・」
言い終わらないうちに・・・
横から、『サ~ッ!ラッカーシンナーくれ~。』
私:「何に使うの?」
E:『ドアのペンキを薄めるんだぎゃ~、サ~ッ!』
私:「ありゃ、エポキシペイントだろ、エポキシリデューサーでないとダメだよ。今持って来るから、ちょっと待ってな。」
E:『イエッサ~ッ!』
またクラブハウスのストックルームへ取りに戻る。
そして現場にとって返し、ミックスペイントの色をチェック。
ほぼ同じ色になり、ずっと前より良くなった。
(なんで自分で考えて、出来ないんだろうか?)
上はコテージの現場内のペンキ。
これらは開封済みで、現在使用途中の物。
その他に資材小屋には、開封済みだが今は使っていないペンキがある。
そしてさらにクラブハウスのストックルームには、これから使用する買いだめた未開封のペンキ類がある。
3か所のストックには理由がある。
シッカリ分けて保管しないと、使い切らない内に次の缶を開ける(←アルアルなこと)から、ちょこっとだけ残ったペンキ缶がどんどん増えていくのだ。
フィリピンで幾つかのダイビング&ビーチリゾート勤務がある私は、とっくに学習し対策を講じた。
それにここは『物価』が年に何度も上がる国だから、使うと思われる資材は買い貯めるべきなのだ。
(ペイントは、モノにもよるが木賃と保管すれば、3~4年くらい品質は変わらない)
横から、
『サ~ッ!ドアヒンジあるか?』
私:「何処のドア用の?」
F:『外トイレのドアだ、サ~ッ!』
私:「そのタイプのヒンジは今切らしてる。今度買って・・・・」
と後ろから、『サ~ッ!紙やすりちょうだいサ~ッ!』
私:「さっき渡した・・・」
と横から:『サ~ッ!1インチの仕上げ用の釘と2.5インチの普通の釘、1キロずつ・・・』
私:「えっ、ナニ?」
隣りでは、『サ~ッ!木が足りないんだけんど、サ~ッ!』
『サ~! コンクリート釘の2インチと3インチ欲しいんだ、サ~!」
ふだんインチキ現場監督とか言っているが、何のことはない。
これでは、ただの使いっ走りか倉庫の雑用係である。
だいたいこの攻撃が毎朝、たまに午後にもあることがある。
だいいち、『サ~、サ~、サ~ッ!』って、私にはこれが敬称の『SIR』じゃなく、『さぁ~、さぁ~、ァさ~ぁ、ァさ~ぁァさ~ぁ!』と急かされているように聞こえる。
お読みの皆様は、何でそんなに面倒くさい事しているんだ。
誰かに任せちゃえばいいんじゃないの?
と思われるかもしれないが、この国では特にウチの場合は、こうしないとダメなのである。
どういう風にダメなのかは、説明が難しく、且つ誤解を招くかもしれないので止めておく。
しかし、フィリピンに長く住んでいる人にとっては、この私のスタイルはまったく『常識』の範囲内のことだと思う。
こうしないとダメなのだ。
『人に任せる』というのは、この国では『丸投げ』より悪く、『ギブアップ』、『どうとでもしやがれ~!』と『俎板の鯉』になって、身ぐるみ剝がされる結果になるかもしれないのだ。