魔人ブーのベッドを作る・・・後編
セメントのタタキにアンカー打って、鉄筋、ブロック、セメントで枠を作り、中に石と砂を入れる。
背もたれ部分の型枠を組む。
ベッド上面のセメントを打って、2日置く。
モルタル下地を付けて、タイルを貼る。
棟梁エンボイの腕の見せ所だ。
側面もモルタルでタイルを貼り、角はタイルトリムで仕上げる。
背もたれには、魚と椰子の木のタイル(←残り物)をアクセントとしてあしらった。
周りは、滑らないようにザラツキのあるタイル(←これも残り物)を貼る。
サマになってきた。
周囲の床、仕上げのタイル張りも終え、イメージ通りに近い。
床のタイルはベッドと同じデザインを使い、タイルの継ぎ目もピタリと合わせてある。
エンボイも、やる気満々で仕上げている。
グラウト(目地セメント)を充填し、周囲のペンキをタッチアップして完成。
実際に寝てみないと、寝心地のほどは定かではない。
想像できる最大の利点は、どんなに重たい人が寝ても、いくら暴れても、このベッドは絶対にキシまないし、壊れないと言う事だ。
悪例がある。
私は以前、欧米系のリゾートに世話になった時、客室の籐製の洒落たベッドに寝ていたことがある。
見た目はゴージャスで非常に宜しいのだが、寝返りを打つたびにギギ、ギギギ~ッ。
籐の素材のキシミ音が凄くて、番犬のように眠りの浅い私は、(自分が出す)その音で目が覚めてしまう。
翌朝は寝不足で、しごく不快であった。
(ダイビングガイドしている時、眠くなってしまった)
『カッコ満点、ナカミ零点』(←子供の頃、流行った言葉だ)そのものだ。
さて、この『魔人ブーベッド』。
高さが低いように見えるが、タイル面まで床から20センチ、その上にやはり20センチ厚のマットを敷くので、高さは40センチになる。
日本人には合った高さだと、私は思う。
ところで、ウチの大棟梁エンボイ。
私が何か面白そうなプランを出すと、必ずと言っていいほどエンボイがシャシャリ出てくる。
(嬉しくて)・・・ニヤニヤして・・・・どうしても、自分がやりたがるのだ。
(実際にエンボイが助手ひとり使って、作業日3日で完成させた。)
エンボイは、仕事に対する好奇心が人一倍強い。
それ自体は良いことなのだが、その最中(さいちゅう)は他の作業への関心度が低くなる。
フォアマン(=棟梁)である本分をスコンと忘れて、自分の作業に没頭する。
となると、他の連中は糸の切れたあやつり人形。
気をつけないとミスをやらかす。
そこでまた私がフォローのため、現場から離れられなくなる。
しかしまぁ、オモロイやっちゃで、エンボイ。
人種も、見た目も、育ちも違うけど、私と似ているようだ。