ヤシの木、伐採しちゃった!
ヤシの木はメッタヤタラと種類があり、これから言うのは、普通に皆様が想像する椰子の実=ココナッツの実る「ココヤシ」のことである。
敷地内には、16本のヤシの木があった。
その16本のヤシの木のうち、2本を切った。
何故ならば、その2本は高くなり過ぎて、万が一倒れたときに危険だからだ。
(時には落下する実も致命傷となる。フィリピンなので信頼できる統計はないが、毎年数百人の犠牲者らしい)。
と共に、材木(ヤシ材木)が足りなくなってきたので、一石二鳥を図ったのである。
自前の木材調達だ。
この国の人にとって、ヤシの木=財産である。
ひと昔前は、ヤシの木が100本あれば、それだけで大家族のファミリーが楽に食っていけたという。
流通経済が発達してきた現在はどうか分からないが、要はそれほど重宝な木なのである。
敷地内のヤシの木は、まだ実が成らないような若い木が多い。
(ヤシの若木、2年目ぐらいか?)
しかし先の2本は、たわわに実をつけた高さ20メートルほどの老木に近い成木である。
これが強風などで、もしリゾートの屋根にでも倒れたら被害甚大である、めったに無い事だが、用心に越したことはない。
ヒョロヒョロと軽そうだが、ヤシの木の重さは何百キロもあるのだから。
(今回大往生してもらったヤシの木)
椰子で稼ぐならともかく、一応リゾートを作るつもりでいる。
余分な木は切るしかないのだ。
根元からチェーンソーで切るので、倒れる方向も正確には計れないため、早めに切るにこしたことはない。
そこで名人木こり「ヤキヤック」の登場となる。
お好み焼き屋のような名前であるが、このあたりではピカ一の腕を持つと言う。
その如何にも鋭い目つきの痩せたオッちゃんは、予定の時間より5時間も遅れてやってきた。
『フィリピンタイム』としても、スゴイ時差である。
(ヤキヤックが切り倒す瞬間)
しかしアレヨという間に、上手く2本切り倒し、製材にかかる。
そのままその場でチェーンソーで製材するのが、フィリピンスタイルである。
ツーバイツー(2インチ×2インチ角)とツーバイスリー(2インチ×3インチ角)をオーダーする。
よく見るとサイズもかなり雑だし、曲がっているものも多いが、器用にフリーハンドでカットする。
これも気にしても仕方ない。
(製材風景)
(ヤシ材)
ともあれ、これで敷地内の脅威はひとつ無くなった。
気の弱い私フウテンオヤジは、心配事があると夜眠れなくなるのである。
ヤシの木で言えば、隣の土地のヤシの木、高くて気になるのが、とりあえず3本ある。
いずれ何とか交渉して排除しなければ、私の精神衛生上良くない。
その土地のオーナーの所在がハッキリしないと言うのがネックだ。
♪この~き、なんのき、きになるき~
やはり無能な私ではなく、奥様Mにあっちこっちと交渉してもらおう。
余談だが、日本人のお客様はヤシの実のジュースを喜ぶのでよくお出しする。
美味いし滋養がある。
戦時中は、日本軍が負傷兵の点滴に使ったなどという話もあるくらいだ。
しかしフィリピン人の好むのは、実の内側に出来る白く固形したヤツ=コプラである。
今回はヤジ馬にあげた。
ずいぶん前にナタデココとして名を売ったお菓子の原料だ、こちらでは料理にも頻繁に使用する、そして結構これが高く売れるのだ。
さらに、実の殻は炭を作ったり、そのまま燃料として利用される。
ふたつに割ってブラシのように床磨きにも使える。
ヤシの葉は、隣のおばあさんがちょうだいと言ってきたので、塀越しにタップリあげた。
葉の芯の部分で、ホウキを作るのだ。
私の狙いは、ビサヤ語で「ウヴットゥ・サ・ルビ」と言う木の先端部分の芯である。
(ヤシの木の先端の珍味-40cm位)
一見は巨大な竹の子の芯、1本の木で1キロくらいしか取れない貴重品で、都会では高値で売買される。
生でそのまま食べても、なんとも絶妙な歯ざわりと甘さがある。
持って帰ってサラダで賞味した。
しかし椰子の木とは、ホントにひと様の役に立つものだ。
捨てるところは全く無いのである。
私のようなフウテンオヤジなど、足元にも及ばないのだ。