ビーチボーイ&ビーチガールのクロニクル

南国ビーチで、ゼロからリゾートを建設し、営業し暮らした記録です

大棟梁のチョンボ

近所で見かけた自家用車。


まるで焼きうちにあったようですが、実動車、現役です。


ここまでくると『ボロ』も”貫録”です。       




かつて、クラブハウスの水道配管工事では、えらい目に遭った(↓)。






ブログには、とてもすべては書けなかったが、「2度と顔を見たくない」という水道屋さんだった。


(エンボイの紹介だった・・・その後エンボイの紹介=NGという公式が出来た。)



その轍をふまない為に、今回のコテージの水道配管は、私フウテンおやじの厳しい完全管理体制のもと、ウチの連中ですることにした。


継手類は、あらかじめセブ市で購入した。




例えば継手類(他にも種類はあるが)、左からユニオン、エルボー、ティー。


無論それぞれ用途が違う。



パイプも資材屋から購入した。


管は普通の1/2インチの鋼管を使う。


この水道管も、中国とアラブとアメリカの陰謀で、1年前のほぼ倍の価格になっている。


あとはダイス(雄ネジ切り用の工具)をレンタルすればよい。




しかし、ここはフィリピンであるから日本とは違う苦労、つまり仮に日本から腕の良い配管職人さんが来て作業したとしても、一筋縄ではいかない事がある。


気の弱い職人ならノイローゼになるだろう。


一言で言えば、『万事がフィリピン田舎流』だということだ。


例えば、ここには正確なネジが切れるダイスはない。


何十年も前の刃の欠けた、しかも使用過多で、径もいい加減なのしかない。


売っている継ぎ手類も然り、ふざけたネジ山と不均一な厚み、1割はピンホールがある。


日本の基準で測れば、これらはほとんど『オシャカ=不良品』なのである。






ねじ切り作業中。




思うに、日本の車が優秀なのは、正しい設計に従った精緻な部品の集合体だからだ。


他国に全ての設計図を渡したとしても、ドイツを除けば、日本と同じ品質の車を作る事は不可能だと私は思う。


日本車も、下請け・孫請けの町工場に、『おんぶにだっこ』なのだ。




話がそれたが、さらに悪いことに、『俺がやる!』と名乗り出たのが、例によって棟梁のエンボイだ。


どんな失敗をしでかしても、決して揺らぐことの無い彼の自信は、実にアッパレだ。


あまり技術的なことを書いても、退屈する読者が多いだろうから少しにしておくが、今回のエンボイの仕業は・・・・例えばこれだ。



ユニオン。




直線でパイプをつなぐ継ぎ手の一種だが、左右のパイプを回す事なしにバラせるので、配管のところどころに組んで、メンテの便宜を図る便利な継ぎ手である。



本来このように組む。


(左側の大径のナットの内側には、メスネジが切ってある)





それをエンボイはこう(↓)組んだ。






これでは相方にネジが切ってないので、いくら回しても締まるわけがない。


水はジャージャーと漏ることになる。


さすがの私もキレそうになったが、ひたすらじっと堪えた。


そして気を落ち着けてから、正しい組み方を説明した。



しかし不思議だ。


最初の画像にあるように、ユニオンは組んである状態で渡してある。


それをバラしてパイプに取り付け、元どおり組むだけなのだ。


僅か3つのパーツである。


うちの現場の大棟梁が、それが出来ないのだ。


他に、テフロンテープ(防水テープ)を巻く向きに頓着しない、とか色々ある。


テフロンはネジの締め付け方向(時計回り)に巻くべきなのだが・・・見ているとよく逆に巻いている。


細かいことだが重要だ。


エンボイは頭が固すぎて、たびたび注意しても変わらない。



黙認すると配管が水漏りだらけになり、やり直しで、工事は終わらない。


エンボイを配管工事から降ろさないといけないが、「やめろ!」と言えば、エンボイのプライドが傷つく。



平均的に、フィリピン人は日本人の5倍くらいプライドが高いので、それは避けるべきだ。


そこで私は、『ダイスが悪いから、良いネジが切れない。』という理由で、水道管のカットだけウチでして、ねじ切りは外注することにした。


町の水道局に持っていくと、ひとネジ15ペソでネジを切ってくれるのだ(スタッフたちの闇アルバイト?)。




そのタイミングで、エンボイを他の仕事にアサインすればいい。


ひとネジ15ペソ(当時で30円くらい)は決して安くは無い。


が、エンボイ&助手と借りたダイスのコンビでは、ひとネジ仕上げるのにほぼ1時間近くかかり、人件費がかかりすぎる。


15ペソ払っても、外注のほうが全然安い。



万能選手のエリックを採寸とカット担当にして、エンボイには「屋根チームの監督をしてくれ。」と体よく追っ払った。



ヤレヤレだ。

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