ビーチボーイ&ビーチガールのクロニクル

南国ビーチで、ゼロからリゾートを建設し、営業し暮らした記録です

給料ない・・・盗られた?

完成した第一コテージ。


ガーデニングはまだまだです。


この隣りには竹座敷、前には露天風呂を建設予定です。


出来るでしょうか、乞うご期待。





さて“操り人形のガイコツの踊り”というと、皆様は想像できるでしょうか?


どんなものか、お分かりいただけるでしょうか?



うちの大棟梁エンボイが、突然それを始めたのであります。


毎週土曜日は、職人の給料日。


夕方5時、作業が終わると全員集合。


奥様と秘書のJが、一人ひとりに明細を説明して給料を渡します。


秘書のJは、こういう時は秘書ですが、フィリピン1号の幼稚園の送り迎え、家庭教師、資材調達のヘルプ、クラブハウスの掃除など何でもこなしてくれます。


フウテン夫婦と長い付き合いです。


奥様とは、こちらで云う“ベストフレンド”の様相もあります。




私フウテンは、給料を渡している最中は、現場の最終点検をしております。


翌日が日曜で現場休みですので、何かとチェックが必要です。


ふと気が付くと、エンボイが、前述のコミカルなガイコツ踊りをしているではありませんか。


ガニ股状態で飛び跳ねて、手の振り付けも合わせて、ナニやらワメキながら、はしゃいでおります。


よほど嬉しい事があったのかと思いましたが、点検を終えて戻るとまだエンボイが騒いでいて、他のスタッフも何やらオカシナ雰囲気です。




フウテン:「(奥様へ)エンボイどうしたの?」


奥様:『エンボイがお金が足りないって、文句を言っている。』



フ:「えっ?」




全くフィリピン人のリアクションと言うのは、ややもすると我々日本人には理解できない場合があります。


私にはどう見ても、楽しい事があったとしか、思えませんでした。


日本人なら、この場合、こういうおかしな行動はとらないでしょう。


それにしても、変な話です。


給料は、奥様が各自の封筒に入れ、金額を秘書Jが再度確認して、渡す時にさらに本人の前で数えて渡し、領収のサインを貰っています。


エンボイは棟梁ですので、一番最初に渡します。


要はエンボイが受け取った後で、落としたかして失くしたのでしょう。


そこに気が付いたエンボイは、自分が落したお金を誰かが拾ってポケットに入れて、とぼけている・・・と考えた。


そこで他の連中に抗議して、故横山やすしさんの様に『どないなっとんのや! ワレ~ッ!』と喚きながら、ガニ股で跳ねていたのでした。




ひとしきりガイコツ踊りをしてアピールしていましたが、他の連中はもういい加減、嫌気がさしていて、半分エンボイを無視。


結局その場は、秘書のJが自分の金で不足分を哀れなエンボイに渡し、他のスタッフが毎週少しずつカンパしてJに返すということで、決着したようです。




その翌日、日曜日なのにエンボイが深刻な顔をしてT2に来ました。


エンボイ:『俺の金を盗ったのはSに違いない、だからSをクビにしてくれ。』


とわざわざ云いに来たのです。



私:「そうか、だけどSが盗ったという証拠はあるのか?何が根拠だ?」



エンボイ:『他の連中に聞いてみたけど、みな知らないといっている、あの時Sは俺に一番近い場所に居たし、間違いない。』



バカバカしくなってきた。


だいいち盗んだ人間がいたとしても、「盗りました」と言うわけがない。


私:「今日は日曜日だし、その話はまた明日にしよう。」


とエンボイを帰しました。




こういう場合、いつまでも面倒くさいので無くなった金をウチが出してやる、という手がないわけではありません。


しかし、もしそれをすると、またこの次に同様のことがあった場合、また出さないと『この前は出したのに、何故、今回はださないのだ。』と逆恨みされることがあります。


一度出すと次も期待され、やがてはそれが当然という感覚を持つようになる。


野生動物にエサをやるようなものです。


フィリピン人の経営者なら、絶対に補填したりしません。




例えば、レストランでウエイトレスがグラスを落とした、メイドが洗い物をしていて食器を割った、などという場合、この国では給料から天引きが一般的であります。


これは雇用の際に、最初に契約書で抑えてしまいます。


誰にも間違いはある、とか、わざとやったわけじゃないしという性善説の一般的な日本に比べると、非常にシビアーというか厳しいようですが、この国ではそれが正解です。



貧困層や被雇用者は、極端に言うと雇用者に対し、


『あんたらお金有るんだろ。』


『俺たちゃ貧乏でお金ないんだ。だからそっちが出して当たり前だろ。』


という思考回路を持つ人がいます。



現に今回の事件でも、甘っちょろな私は、とばっちりを食った秘書:Jも可哀そうだし、面倒くさいから出しちゃお、と途中から考えておりました。



ところが彼らは、Jにお金を返すのが惜しくなったのか、


『(フウテン夫婦が)金を持っているんだから、出せばいいじゃないか。』


という事を、陰で何人かのスタッフが言っていると知りました。


その噂を聞いたとたん、私は金を出す気が消滅いたしました。


「フィリピン人同士で起きたことだから、フィリピン人同士で解決すればいい」、という当初のスタンスに戻しました。


さすがに彼らも、私に直接言っては来ませんので、こちらも知らん振りです。




しかし元はといえば、お金を落としたエンボイが悪い。


それをウジウジといつまでも・・・泣きを入れて。



しかも仕事上で、Sをジメジメと虐めたり・・・女々しいぞ。



(エンボイ、フォアマン=棟梁の名が泣くぞ)


と言ってやりたかったが、やはり彼らの問題だから、やめた。





エンボイの名誉のために申し上げます。


彼は棟梁としての務めは、人並み以上に果たしております。


自ら率先して働く。


他のスタッフを引っ張るリーダーシップもあります。


ミスはよくしますが、曲がった事は一切しません。


そして仕事ぶりはいたってマジメです。


プライベートで偶然会ったりすると、ウチの子にアイスを買ってくれたりします。



惜しむらくは、人間的なスケールというか、肝っ玉が小さいんです。


おっと、この私も人のことは言えませんが。

×

非ログインユーザーとして返信する