オマエがやるか?!
(ジジィ風大工・・ドアパネルの枠を作り始めた)
木工の細工物は、メインがドドン、気が向けばエンボイがそれにかむ、というのが常道だ。
が、仕事がない例の“じじい風大工”で、スタートしてしまった。
なんてこった!
右下角を見ていただきたい。
ズレているし、だいいち何故、わざわざ傷の部分を使うのだ。
今までも、角の合わせ目は、一発で決めたためしが無い。
これで職業『大工』だ。
この程度のミスは朝飯前だから、全然動じない“じじい風大工”である。
上の部材はボツ、オシャカにした。
このままでは、私の寿命が縮まるだけだ。
別の仕事を与え、体よく追い払った。
巨匠ドドンに来てもらうしかない。
これは元は、ボロ屋2階の梁の一部だ。
2.5インチ×6インチ角(約7×15センチ)。
これを切って削り、ドアパネルの枠にする。
カンナのひと削りごとに、木が蘇(よみがえ)る。
ようやく縦の1本ができた。
縦の2本と横の3本、これでドアパネル1枚分の枠。
木は、こんな風に見事に蘇る。
70年以上乾燥された、しかも今では貴重な赤ラワン材だ。
硬くずっしりと重い。
ただし全て手作業、ゆっくりゆっくりと時間が流れる。
フウテンのような江戸っ子ジャパニーズは、じれったくてケツの穴が痒(かゆ)くなる。