お座敷つくってます・・・後編
あらかたトラス(柱から上の枠組み)がカタチになってきた。
屋根葺き材用の横木を打ちつけていく。
床の根太を25センチ間隔ではる。
フィリピンに来た頃、当時私が草鞋(わらじ)を脱いでいた、ルソン島のダイビングリゾートがありました。
そこには、6×8メートル四方くらいの、コンクリートのタタキに椅子とテーブルを置いただけの食堂がありました。
そのコンクリートの上に、割り竹を貼った床を作り、じかに座れるようにして、ちゃぶ台のような低いテーブルで食事などできるように改造したことがありました。
これが当時大変好評でした。
涼しげな竹の肌触りの良さ。
そして畳のようにゴロゴロできる。
まさしく、トロピカルなアジアン・エスニック建築の真髄のように、私には思えます。
そして今回、当時の経験を生かしつつ、さらに改良してモノにしようというわけです。
主な改良点は、2つ。
*地面から1メートルほど“高床”にする。
*“掘りゴタツ”形式の“席”を作る。
高床は見晴らしと風通しの良さ、そしてシロアリなどの虫害から建物を守ります。
掘りゴタツは、私は最初まったく頭になかったのですが、奥様曰く、
『殿方はそれでよろしいざぁ~ましょうが、あちきら婦女子は足が疲れるざぁ~ます。』
言われてみると、確かに一理ありです。
私がその昔、サラリーマン時代、お座敷で宴会や飲み会を催すと、無礼講にはもってこいで、男どもには好評でしたが、多くの女性陣に不評なことがありました。
足腰が疲れるからイヤ、酔っ払いオヤジが寄ってくるし・・・ということです。
ご年配のご婦人方は、別の意味で座るのがキツイようです。
そこで、奥様の意見を取り入れ、6人掛けの掘りゴタツ席を2つ、急きょ設計に追加いたしました。
奥様あっての、私フウテンです。
“掘りゴタツ”というモノを、見た事がないうちの連中にどう説明するか?、ちょっと心配でした。
しかし、これは杞憂でした。
図面を見せて説明すると、棟梁エンボイは素直に納得です。
考えてみると、彼らは、今まで散々見たことがない変なモノを、私に作らされていますから、『またか』と思っただけのようです。
敷地内に生えていたタリサイの木(乾燥済み)。
こんな丸太を切るのも手ノコ・・・フィリピン田舎スタイル=人力が一番確かで安価。
3ヶ月前に切った“タリサイ”の木の幹を1本丸ごと、どっしりと中央の柱に据えました。
大黒柱のつもり。
完成までは、まだ当分かかります。
掘りゴタツは、出来次第ご報告いたします。