セブ島の田舎の建築事情
(現場風景)
はじめにお断りしておくが、私は建築の専門家ではない。
そのような学校も出ていないし、建築士の資格も持っていない。
法隆寺や東京都庁を設計したのも、施工したのも、ことわるまでもないが、私ではない。
私はただのフウテンオヤジである。
しかしそのオヤジが、セブ島で家を設計し、現場を取り仕切っている。
責任重大、たいへんだ~~。
あわよくば、洒落たリゾートなんかも、全部自分で作ってしまおうと目論んでいる。
我ながら、イカレたオヤジである。
後になって、他人様の笑いものにならなければ良いと思うが、なったらなったでそれも善し、と腹はくくっている。
しかし、もともと建築に興味はあった。
幼少の頃、実家のお向かいさんが工務店だった。
金槌やノコ、カンナ、墨壺とか差し金とかの『道具』を見ると、興奮するたち(フェチ?)であった。
(上はエリックの道具、日本の職人たちの道具とは月とスッポン?)
道を歩いていて、建築現場など有ると立ち止まって、見入ってしまうことが多い。
キャリアと云うほどの事はないが、学生時代、アルバイトで倉庫ビルの鉄骨図面を書かされたことがある。
私の畑は機械工学だったから、このときは云われるままの製図で、自分が何を書いているのか判らなかった、あの通り建築したとしたら欠陥建築だろう・・・・ゴメン。
同じくバイト、某ゼネコンの都内マンション工事現場で、1年間現場監督たちの使い走りをした事がある。
ゼネコンの仕事を1年間見せてもらった。
また、小さな自宅を発注したこともあった。
私の建築関係のバックグラウンドは、その程度である。
しかし私には、親から受け継いだ才能?がある。
あまり威張れないが、たいした『器用貧乏』なのだ。
器用な人が少なくなった現代日本人においては、珍しいほどなのだ。
そして、どうでもいいが『器用』と言う字には、『貧乏』という字がよく似合う。
この年になって、貧乏はもちろん自分のせいだが、自分の器用さに時として自分が驚くことがある。
この場を借りて両親とご先祖様に感謝したい。
そして何より私の最大のアドバンテージは、この国のリゾートに10年ほど居たので、ナマのフィリピンスタイルの建築仕事をたっぷりと、じっくりと見れたことである。
少々のことでは驚かない。
もし現代の日本の工務店様や建築士様が、それを見たらどうなるか?
日本の建築工事とのあまりの違いに、呆れて言葉が出ないか。
笑いが止まらなくなり、しばらくして後、自信をなくすか。
呆れるか、怒るか知らないが、カルチャーショックは相当だと思う。
とにかく、「オォ~ッ!」とか、「ウヮ~ッ!」とか感嘆詞の連続となること、請け合いである。
「こんなの、ありか~!」という、それはもう建築を知っている人ほどビックラコキマロな、世界なのである。
ひと言で言えば、いい加減。
フィリピンとフィリピン人の名誉のため、ことわっておくが、この国にも大都市ではキチンと建築を基礎から学んだ、世界で通用する建築家や作業員もいると思う。
しかし、地方では、ましてフウテンオヤジに雇われるような輩には、そりゃあなた、絶無なのである。
具体的な話はその内に、ともったいを付けておこう。
ところで不肖フウテンオヤジ、こと生き方に関しては、自分で言うのも何だが、情けなくなるほど、不器用な男である。