ピアノが・・・
(おかげさまで、手に入った電子ピアノ)
フウテンおやじ妻です。
むか~し、むかし、ある所にりんごのような赤いほっぺの、5歳の少女がいました。
少女はある日、何を思ったのか母親に「私、ピアノ習いたいの」といいました。
少女のお母さんは、少女が通う保育園に、週一度ピアノの先生がレッスンに来ているのを知っていたので、「じゃ、やってみれば?」といいました。
少女は週一度、いつも赤い素敵な口紅を塗ったピアノの先生のもと、♪ド~、ド~、ド~♪の幼児用練習楽譜から始まりました。
『はい、卵を包むように、でも卵をつぶさないような気持ちで弾きます。はい、ド~♪、レ~♪、ミ~♪』
そしていつの頃か、レッスンは町の中心にある、駅から歩いて7分ほどの先生の自宅へと、場所が移りました。
小学生になった少女は、週一度通うのでありました。
気がつくと少女の家には、両親ががんばって買ってくれた、アップライトのヤマハのピアノがありました。
少女は毎日、毎日1時間から2時間、練習に励みました。
ラッキーなことに、その少女は足ばかりではなく手も大きく、ばふっ、ばふっ1オクターブは簡単に弾くことができたのです。
しかもスポーツも好んでしていた少女は、そのおかげでかなり力強く、音のしっかりした曲をも弾くことができたのでした。
中学にあがり、部活動は軟式テニス。
部活と並行して、少女はピアノを弾き続けました。
そんな少女もいつしか高校生。。
と。。。。
部活は迷うことなく硬式テニス部。
しかし。。。。テニスにハマってしまった少女は、すでに“生活の大半がテニス”、“テニスをするために高校に通う”状態。
すっかりピアノの時間がなくなってしまい。。。。
ピアノ、断念。。。。。
少女の十数年のピアノキャリアは、ここでストップしてしまったのです。
そんな元少女、気がつくとセブ島という南の島の、しかも超がつくド田舎で暮らしていたのです。
彼女は、チャンスがあったらまたピアノを弾きたい、とずっと思い続けていました。
ある日、彼女はいままで誕生日、クリスマス、結婚記念日、夫(フウテンオヤジ)からは、プレゼントらしきものは、貰ったことがないことに気がつきました。
そして試しに夫に言ってみたのです。
「いままでの、“もらっていないプレゼント”のことを忘れてあげるから、電子ピアノが欲しい」と。
すると夫はイタイところをつかれたと思ったのか、「いいよ」とあっさりと返事をしたのです。
そして二人は、セブ市へ用事で出かけたときに、お店をのぞいてみました。
日本ですでに製造中止になっている電子ピアノが、日本円にすると8万円から10万円。
しかも、最新の物だと30万円から40万円もするのです。
彼女は落胆しました。。。(どうしよう、これじゃとてもじゃないけれど買えない。。)
すると夫は
「じゃ、ネットで探してみたら」
(この後の話は長くなるので割愛させていただきます)
かくして彼女は、心やさしい方々の協力のおかげで、めでたくヤマハの電子ピアノ(=冒頭画像、日本の通販の新品)を手にいれたのでした。
母親からは、昔、彼女が弾いていた楽譜を送ってもらいました。
彼女は楽譜を楽譜台の上に置き、うやうやしく鍵盤に指をのせ、「さぁ!」 のはずだったのですが、
が、楽譜が。。。。。読めなかった。。。。。
が~~~~~ん。。。
ピアノから離れて、すでにウン十年も経っているのです。
しかし彼女の頭の中では、「ほんの少し前」で、初見でも何かしら弾けると思っていました。
”弾ける”という点では彼女は間違ってはいませんでした、確かに弾けました。
♪ねこふんじゃった♪
が。。。。
これじゃ、だめだ。。
彼女は、その日からピアノの練習を始めました。
家事やら、夫の仕事のサポートやら、経理やら育児の隙をぬっての練習。
しかし、今度は別な問題が発生。
ず~っと弾いていなかった彼女の指と腕は、完全に動かず、30分も弾くと・・・
「げげっ。腕がつる、指がつる。。。。」
練習を始めてから数日が経ち、数週間が経ち。。。。
なんとか、1時間ほど弾けるようになりました。
そして、初級レベルのモーツアルトのトルコ行進曲が、途中まで弾けるようになりました。
しかしそれはとても遅く、間違った回転レコードのようなトルコマーチなのですが。。。。
しかも、彼女は長年の夢であった”ジャズピアノ“に挑戦です。
クラシック出身の彼女にとって、数十年のブランクと弾いたことのないジャンルは、無謀ともいえるかもしれません。
リズムが全くとれません。
しかもやたらとフラットがつき、あれ?どれの音にフラットがつくんだっけ?
しかも、♭や♪が虫の群れのように見え、頭がクラッ。
なぜにこんなにフラットがつく?
むやみやたらにある♪。。。
ここまで弾くのに手がつり。。。
しかし彼女はくじけません。
途中、楽譜が読めず考えこんでしまっても、右と左があわなくてもがんばります。
人生、夢と希望の塊です。
そう、“私のピアノ”から“私はピアノ”と、言える日がくるかもしれないからです。
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と、長々と書きましたが、要するに彼女は、満足に弾けるまで、時間がかかるってことを言いたいわけですな。
おしまい