塀の上の飾り?
この辺りは、セブの有名観光地であるマクタンエリアから100キロ以上も離れている。
ひと言で云って、『イナカ』。
セブ市やマクタンは、地方出身者の集まり=”都会”である。
こちら田舎では、住人によそ者はほとんどいない。
強いて言えば、そこそこの数の外国人が、土地には不似合いな家を建て、別荘もしくは住居としている。
従って、治安はめっぽう良くノンビリしている。
今作っているリゾートの南側と北側の境界線は、あわせて230メートルくらいあることは以前書いた。許可証を取って高さ1.8メートルほどのブロック塀を建てたことも話した。
さてその塀の上部をどうしようかということだ。
その気になれば大人なら簡単に乗り越えられる。
マクタンエリアのリゾートなどは、敷地を高い塀で囲い、さらに侵入防御手段を施し、24時間体制で、銃を携行したガードマンを配置している(普通にフィリピンスタイルです)。
生い立ちの様々な人間が住み、膨大な数の観光客が訪れるので、たぶん不可欠な配慮なのだと思う。
海上の境界にまで、柵をめぐらしガードするリゾートホテルも多いのだ。
ひるがえって、当地地域。
住んでいる外国人の中には、小さいながらもリゾートとして営業しているケースもある。
銃器携帯のガードマンこそいないが、マクタンエリアのマネなのか、塀はけっこう高い。
どんなもんだろう?
こんな場所で、本当に高い塀や柵は必要なのか?
私はここの治安は、日本の地方の住宅地域と同等水準と認識しているのだが・・・。
奥様Mと討議する。
塀が高いと、日本人のお客様は”圧迫感”を感じる。
塀の上に恐ろしげな鉄の柵などあると、ここはそんなに治安が悪いのかと逆に誤解される。
高圧電線など張り巡らしたら、リゾートではなく刑務所に来たかと錯覚するケースもあるだろう。
しかし、もし塀が低かったら、セブといえども日本ではイメージ最悪のフィリピンであるからして、治安の良さを知らない人は不安に思うかもしれない。
また、ぶらぶらしている近所の人たちが、”日本人見物”に集まるかもしれない。
今のままでなく、塀の上に何か作ろうという結論になった。
といっても塀の総長は230メートルもある。
なるべくコストが掛からず、シンプルな構造。
村の人にも、お客様にも、「セキュリティしてます」、というポーズが読み取れる意匠を考えないといけない。
デザインを検討して、いろいろな材料の単価と作業のコストを計算する。
結局、1インチサイズの鉄のアングルバーを購入して、長さ40センチで先端を斜めにカットして、塀の上に立てることにした(冒頭の画像)。
塀の上は、もともと補強と表面を汚れにくくするために、山形のアタマを乗せる予定だったので、その中に埋め込むことにした。
カットする前にさび止めを塗ったが、シーウオールから15メートルまでは、さらなる防錆対策で、1/4インチ厚、それ以外は経費節約で、3/16厚のアングルバーを使用した。
クラブハウス側は後回しで、まず北側110メートルを施工する。
バーのカットは、日本では考えられない手ノコ作業で計300本、自称溶接工のゴディンの仕事だ。
彼の手の皮は、常人の数倍厚い。
溶接も常に素手でする。
出来上がってみると、適度な圧迫感、我ながら満足のいく出来で、かんじんなコストも最低限に抑えられた。
その優れたコストパフォーマンスに、私は自画自賛してしまった。
そして、いよいよクラブハウス工事に集中させるため、エリックチームをエンボイチームに投入した。
これでさらにスピードアップするだろう・・・・か?。