水は命
左:大棟梁エンボイ、右:エースのエリック、ウチのツートップです。
給水タンクはコストカットのため、外周フェンスとワークショップの柱と壁を利用いたします。
アジアのトロピカルなビーチリゾートでは、けっこう水と電気が弱点になっていることが多いです。
ビーチリゾートなんてものは、もともと、便利な都会から離れたド田舎地域にあります。
そんな人里離れた人家もまばらな場所に、豊富な電力や潤沢な水道水をしっかりと送る予算があるほど、アジアの国々はゆとりがありませんので仕方ないでしょう。
要は『インフラが弱い』のです。
お客様である日本人がご存じなのは、水と電気は、ほぼ、いつでもどこでもある経済大国ですから、これはもうハナから勝負になりません。
まして、コチトラはインフラなんて言葉さえも、有る様な無い様な平和なフィリピンの田舎です。
しかし、ご安心メサレ~イ!
ウチは水でご不便はお掛けいたしません。
(と言っておきましょう。大丈夫かな?)。
水を安定供給するためには、大きなタンクが必要です。
水タンクには、高所に設置するものと低所に作るものがあります。
高所のタンクにポンプで水を揚げて高低差による自然圧を利用して供給する、または、地上にタンクを作り、その水をポンプで加圧して供給する方法の二つです。
一概に、どちらが良いとは言えません。
施設の必要水量、その場所の地形や天候、水道水の量や質、価格などの状況、ポンプを動かす電力供給の安定性と価格、タンク建設コストと耐久年数、メンテ費用などを検討して、どのタイプのタンクを作るか検討すべきでしょう。
中でも一番重要なのは、水道水の品質です。
なぜなら、水量が安定して豊富で水圧が高く一定していれば、もとよりタンクなど不要なわけですから。
この点に関しては、ウチの村は、他のフィリピンのエリアに比べればかなり有利です。
水質、量、水圧ともにフィリピンの田舎としては抜群です。
弱点は、まれに工事のための断水があること、そして朝夕水圧の弱い時があることです。
あんまり堅い話を続けると、退屈な方も多いでしょうから止めにします。
結論だけ言いますと、地上のタンクで大きさは7500リットルのコンクリート製、底面の地上高50センチ、有効水深1.4メートルとしました。
床、ブロックを2段積んで、砂利を入れ配筋する。
スラブ配筋とセメント打ち。
セメントはサハラを混ぜた防水セメントを使います。
左サイドにも壁を作っていく。
ウデの良い左官を選び、コテでセメントを飛ばし、空気の入らないセメント壁を立ち上げていく。
水圧の強い下部には、防水セメントをたっぷり混ぜる。
四方の壁が出来ました。
ブロックを立ち上げたあと、内部を3層塗りで防水セメント仕上げいたします。
忘れずにパイプを仕込んでおきます。
パイプは、注水用、ドレーン、ポンプ用アウトレット、オーバーフローの4本です。
3日乾燥させたあと、注水してテストです。
私は、今までタンクや水槽、プールなどを作ったり、扱った経験でこの水タンクが漏るのは初めから判ってます。
経験上、漏る場所はほぼ決まってます。
パイプ周りとタンクの下部と内面の角です。
したがって、パイプ回りは念入りに、内面は角をなくしアールを付ける事、水圧が高くなるタンク下部のセメント壁を厚くする事。
この3点を、施工前に彼らに注意点として強調したのですが、彼らはプライドが高く、自分達の経験(しかも、たいしたことない経験)の範囲内で判断します。
自信過剰ですから、人の言う事を素直に聞くことは、あまりないです。
このことは、フィリピンに長いこと住んでいる日本人は、皆さんもう大抵諦めています。
この国の多くの人達の持つこの特質を変えることは、不可能に近いです。
フィリピンに限らず、マァ他所はこんなものですけど。
今回のタンクにしても私は一応は注意しましたが、漏る現実を見せてから、修理させる予定でした。
予定通りです。
この程度の漏れで済んだことは、私の注意も多少効いたのかもしれません。
しかしタンクなどの場合、漏れは段々ひどくなるのが常ですから、この水を何かに使ってタンクをカラにした後、また内部の下部とパイプ周りを補修しなければなりません。
それから再テストして良ければ上面と蓋(マンホール)の型枠を作り、セメント打ちして密封します。
その後、ポンプとプレッシャータンクを購入して設置し完成します。
予定では、このタンクの水を給水するのは、お客様がいらっしゃる時の夜間以外と、突然の断水時だけです。
つまりウチの給水は、通常の水道との2系統となります。