バッタモノの蛇口
右を水道管につなぎ、左はそのままで使ったり、水ホースを接続したりします。
この古風なデザインの蛇口は、おそらくフィリピン中で一番使われているタイプの蛇口です。
特に田舎では、これしかないと言っても過言ではありません。
お値段は、45ペソ(100円くらい=当時価格=)くらいの超バッタモノ(中国製のC級品)から、めったにお目にかかれない600ペソ以上の“本物”まで様々ですが、通常は100ペソくらいの品がよく使われております。
違いは、金属の質、厚み、加工精度、要するに見掛けはよく似ていても、別物と言って差し支えありません。
この私の手の品は、セブ市最大手の〇〇ティックハードウェアで買った110ペソの品です。
ヨソですと、130ペソくらいします。
“USA”とデカデカと誇らしげに書いてありますが、“MADE IN USA”でないことは子供でも知っています。
同時に、“JAPAN”とか“GERMANY”とか何かに書いてあっても、それは日本製やドイツ製を意味するものではありません。
犬(?)でも知っています。
“MADE IN JAPAN”や“MADE IN GERMANY”のように『メイドイン』が付いていれば、『そうかな?』と言う感じです。
特にUSAの場合は、現地ビサヤ語で、数字の『1=いち』のことを『ウサ(USA)』と言います。
したがって、
『ア~ニ、言ってんだべ~。こりゃユーエスエーじゃね~ど、ウサって書いてあるだけだがなもし~。』
という常套文句があります。
最近は、ニセ表示にうるさくなったのか、『ジャパンクオリティー』と言う言葉がよく使われます。
『日本製じゃないけど、日本製と同じ品質だよ!』と主張するわけですね。
ウソとか言い訳は、キリなくでてくるようです。
さてこの蛇口。
水道管につないで使い始めますと、やがてポタポタと漏り始めます。
ギュッと閉めても、タラッタラッ。
この程度で驚いてはいけません。
水撒き用にホースアダプターなど買ってきて、ホースをつなぐと盛大に漏ります。
ホースの先から出る水の量と、蛇口の周りから流れる水が、ドッコイドッコイのいい勝負をします。
ちょっと写真が見にくくてすいません。
中にゴムパッキンは、ちゃんと付属してますよ。
洩れの原因は、ゴムパッキンの径と厚みが合っていないからです。
ここで怒ったり慌ててはいけません。
店に怒鳴り込んだり、もう一個買うかと思ってもいけません。
文句を言っても相手にされませんし、もうひとつ買っても結果は同じです。
ではどうするか?
フィリピンではごく当たり前で、なんら珍しくないのですが、そこを敢えてご説明いたします。
1.そこらを歩いて、落ちているこわれたビーサンを拾います。
(海岸などですと、30メートルも歩けばすぐ見つかります。)
2.ハサミで丸くカットして、厚みもだいたい整えます。
(今回は、とっておきの私のちびたビーサンを使いました。)
3.ネジの内径にきつめにはまるように切って、中央に穴を開けます。
横着してハサミで穴を開けるより、太釘を焚き火であぶって開けるほうが水が漏れにくいです。
そして、蛇口にセット。
もう一滴も漏りません。
(付属していたゴムパッキンは、大事に取って置けば、他に流用できます。)
こういう作業は、フィリピンでは常識の範疇です。
しかし、日本人のくせに、こういう作業を当然のごとく、2分でチョイチョイとやってしまう私は、何なんでしょうか?(なんだか恥ずかしい気が・・・・)
持って生まれた器用貧乏に磨きがかかり、さらに問題解決法がフィリピン化してますね。
私を魚のように分類すれば・・・さながら『日本人亜目-フィリピン化(科)-オヤジ属-フウテン魚』ですか。
あらためて申し上げます。
先祖代々、日本人ですよ。
でも、やはりフィリピン化しちまったのでしょうか?
客観的に見ると、私はあの映画『マタンゴ』みたいですね。
無人島で空腹のあまり、マタンゴきのこを食べてしまったばかりに、きのこに変身していくというストーリー。
傑作でしたね。
私はまだ子供でしたけど、あの映画とても怖かったですね。
若い方知らないですね。
↓これです。
http://www.j-kinema.com/matango.htm
観ていないと、イメージ湧かないでしょうね。
今風にたとえれば、ゾンビに咬まれたために、自分もゾンビになってしまった、なんて言う風に『フィリピン化』を例えればいいのでしょうか。
個人的には、『マタンゴ』のほうが的確な喩えだと思います。
しかし、フィリピンやフィリピン人にとってバカにした話ですね、これは⁽=ごめんなさい)。
ところで、すり減ってちびたビーサンの用途は。
本来の用途のほかに、上のように蛇口のパッキン代わり。
径の違う排水パイプの接続用、漁師の浅場の定置網のウキ代わり、屋根釘の漏れ止め、など様々な緩衝材として、使い道はいくらでもあります。