なに~!『ヘリコプター』だと~!
(この配筋、2階に関取衆が泊まってもびくともしないかも・・・でも画像のように仕事は5人で一人前)
木っ端の整理やら、ゴミ拾いなどしながら現場をチェックしていると、エンボイが近づいてきた。
「・・・ダブルのスラブの鉄筋なんだけど・・・・」
私:「えっ?ダブル?スラブ?!」
なんだとーっ!
このビームでコマ切れになったスラブ(床)、その鉄筋を、ダブル(2重重ね)にしようと言うのか。
エンボイ:「地震が来たら、シングルだとスラブが壊れる。」
セブ人のエンボイに、地震の事を言われたくはない。
そりゃ、関東大震災こそ体験していないが、このフウテンは世界に冠たる地震大国=日本で生まれ育った江戸っ子だ(‥あまり自慢にならないが・・・)。
地震が恐きゃ、日本人はやってられない。
昔から、"地震、雷、火事、親父"・・・だ。
私はフィリピンに(この当時で)10年住み続けているが、地震を感じたのは2~3回だ。
しかも全部ルソン島に居たときだ。
その地震も震度1~2程度、揺れるというより、瞬間グラッとしておしまい、ローカルピープルは騒ぐけど、猫が歩いた程度だ。
このセブ島では一度も経験が無い。
私:「エンボイ、ここは地震は無いだろ?」
エンボイ:「いや、あった。」
私:「いつ?」
エンボイ:「去年の10月だ。」
そういえばその頃、奥様Mが隣りの島のドマゲティに行った時、スーパーの4階、フードコートで地震を感じたというのを聞いたことがあった。
しかし、それは火山も温泉もあるネグロス島のことだ。
私:「ふた言めには、2階が重いからというが、鉄筋を何トンもぶち込んで重くしてるのは、誰なんだ!」
「お前には想像できないだろうが、日本には年に何回も、お前がウンコ洩らすほどの地震が起こる。」
「けどなぁ、大半の庶民の住宅は、家は木と紙で出来てるんだ。」
「軽くてねばるから地震に強いんだ。」
「ほら、あの椰子の木を見ろ! いくら揺れても倒れないだろ。」
「もしあの木が、お前が作った鉄筋てんこ盛りのセメント柱でも、倒れないと思うか?え~ッ、どうなんだ」
「倒れる!と思うだろうが。」
「バンブー(竹)だってそうだろ、強いということは、堅いこととは違うんだ。」
「お前の頭も固いから、気をつけたほうがいいぞ。」
後のほうは、エンボイも嬉しそうに、ニタニタしながら聞いている。
何故なら、彼はダブルのスラブにする、と、とうに決めているし、私も彼の決意を変えられないことは、ハナから承知している・・・しかもそれをもエンボイは分かっているからだ。
結局重ねる鉄筋は、ベッドルームは12ミリで20センチ間隔、トイレなど小部屋のスラブは10ミリの鉄筋にさせた。
エンボイ:「これでヘリコプターが降りても大丈夫だ。」
私:「???・・・(ナニ~!)」天を仰ぐ。
(2段目はまだ縛ってない)
(配筋完了)
(ダブルのスラブの配筋終了・・・豪華絢爛?満艦色?)
しかし、こういうのを何と云うのだろう?
この『手抜き』の正反対のことを。
彼が日本の現場の現場監督だったら、依頼主は喜ぶが、工務店・施工業者はつぶれる。
エンボイが日本の姉歯の現場に出稼ぎに行っていたら、アネハ事件は起こらなかっただろう。
エンボイの頭の固さは天下一品だ・・・・・
(ケンカ相手として面白いから)嫌いじゃないけど・・・