ヤネ屋がやって来る
現場につめていると、様々な人が訪問して来る。
まず見物人。
(日本人夫婦が何か作っていると、ヒマな村人たちがやって来る)
そしておやつ売り。
(職人たち目当てです)
フィリピンでは、人が集まるところ必ず食べもの売りが現われるのだ。
極端な例だと、田舎道で交通事故が起こると、何処からともなくヤジ馬が大勢集まる。
とそんな場合でも、アイスクリーム売り子やらバナナキュー(調理用バナナを揚げて、カリントのように黒砂糖を絡めたフィリピン菓子)売り子がやって来るのだ。
ぶつかって潰れた車や血だらけの怪我人、ある時などは、頭蓋骨が潰れて顔が変形した死人を眺め、噂しながら道端で平気で買い食いする。
こういう精神構造は日本人には無いと思うが・・・・この国の田舎の村では、死と生は常に隣り合わせ。(2020年の今現在はどうか知りませんが)
無残に命を失った人が居ても、自分の家族・親戚・知人以外であれば、"単なる興味の対象"でしかないのか?
さてウチの現場だが、現場に20人近い人が働くので、近所のオバチャン連中が小遣い稼ぎに、自分で何か作って持ち込んで来るのだ。
云わば思うつぼで、建築現場の労働者達は、売りに来るお菓子やパンをせっせと毎日のように買う。
何しろケチなフウテンおやじ(←私のことだが)は、オヤツもお茶も普段は出さないのだ。
これは最初からそういう契約(めんどくさいので日給に上乗せした)だから、かまわないのだが。
職人達は掛売りで買い、毎週土曜の給料日に掛けを集金される。
そしてやね屋のバイク(=営業)が来る。
彼らはバイクで流していて、建築現場を見つけると売り込んでくる。
エンボイは(屋根も)自分達で出来るというが、日本的感覚では、モチは餅屋、屋根は屋根屋だろう。
日本でも普通の大工さんや左官屋さんは、屋根は掛けないと思う。
普通フィリピンでは、庶民の小さな家は何でも屋の職人(普通は親戚の人)が屋根も張る。
この場合、材質はトタンかニッパ(椰子の葉を束ね屋根材としたもの)だ。
うちのクラブハウスは、幾らなんでもニッパやトタンでは、格好がつかない。
近所の家、左がニッパで右がトタン屋根
これは近所のアメリカ人の家の屋根
かといって、それ以外の材質はかなり値が張る。
またバイクでやって来る屋根屋は、詐欺まがいな連中も混ざっていると聞く。
具体的には、手付けを貰ってそのままドロンとか、B級品やC級品の屋根材やリペイントした再生品とかも利用するケースがあるらしい。
そんなやっかいな話になってくると、いかにフウテンおやじでも太刀打ちするのは難儀だ。
しかし、同等の工事をセブ市の大きな工務店に依頼すると、かなり高い。
セブ市には、塩害に強い"新建材"を扱う工務店もあった。
これもいい値段だ。
この建材高(中国のせいだとか)のご時勢、いっそエンボイ組にやらせてしまうか?
実際、屋根材を張る前の鉄骨アングル材組みなど下準備はエンボイ組みにやらせることも出来る。
すると多少コストをカットできるのだ。
このところ、毎日5~6件の見積もりを眺めながらアタマが痛い。
屋根見積書の例
この悩みを吹き飛ばすのは簡単、決断してしまえばいいのだ。
そして、一度決めれば『あとは野となれ山となれ』、のフウテンおやじだから。
が・・・・何しろ優柔不断(←自分で言うか)。
悪いクセだ。
石橋を叩いて、異常なくてもーーーーもっと別の良い橋は無いのかと探す性格だ。
いい年こいて、臆病なのだ(←50過ぎてから臆病になった)。
ああだこうだと考えれば、ことはさらに複雑になるし、先へは進まない。
ど れ に し よ う か な?、天神様のゆう~と~お~りっ!