電気が厄介なのだ
(クラブハウス用に仕入れてきた電気配線用の材料、これで必要量の半分くらい)
この国の電気代は、単純に比較して『日本よりずっと高い』、という事実はあまり知られていない。
双方の国民の収入と相対的に比較すれば、尚更に「バカ高い」。
このことは、電気製品の省電力化が未発達なフィリピンの現状と相まって、日本的な生活を当地でも試みる日本人達の財布を直撃する。
また、余談だが、日本人のおじ様が、付き合っている愛しのフィリピーナ家族に新しい家を建ててやり、彼の地は暑かろうと高価なエアコンなど買ってやったが、電気代が払えず電気を止められてしまうという話もよく聞く。
車やバイクの『プレゼント』も上に同じで、結局ローンやランニングコストが払えず、売却して食糧や遊興費に充ててしまう。
もっとも、ハナから売却を目的の場合も多い。
もちろん、車やバイクの場合は、おじ様には無くしただの盗まれただのといって、替わりをせびるのだろうが。
笑っている場合ではない、日本政府のODAや海外援助も私の知っている限りでは、実態は大差ないのだから。
本当に、その人なり個人なりの為になる援助やサポートというのは、実はとても難しいことだと思う。
話がそれた。
フィリピンの一般住宅の特徴のひとつに、照明が少なく、アウトレット(コンセント)の数が少ないということがある。
これは生活の電化が遅れていると同時に、電気料金の高さに起因する。
また電線(電気ワイヤ)は平均所得と比較すれば、とても高価である。
もっとも生活の電化に関しては、日本が過剰なのだというのが、私見である。
停電などは、日本人の頭の片隅にしかない。
何しろ日本人の家の中は、電化製品だらけ。
そのライフスタイルそのままを当地に持ち込もうとすると、エライコッチャになる。
停電が普通にある。
都市のコンドミニアムなどはジェネレータ(自家発電機)を持つところが多いが、一般家庭では、そこまで対処できない。
電気が復活した時も恐いのだ。
瞬間的に強大な電力が流れる。
これでヒューズが飛んだり、機器が壊れることがある。
それから、日本では考えられないが、電圧が不安定なのだ。
定格は220ボルトだが、特に地方では、夕方など消費が多い時間帯は普通に170ボルトくらいまで下がる。
ひどいときは、半分の100ボルトまで下がる。
これらは私自身が実際にテスターで測った事があるので、間違いない。
これをブラックアウト(停電)ならぬ、ブラウンアウトとフィリピンでは言う。
これらが原因で、精密な(言い換えれば高価な)機器は壊れやすい。
従って、過電流や低電圧に対抗して、AVRやACR(ともに異常電圧や電流による被害から機器を保護する器具)を接続して、冷蔵庫やTV、電子レンジ、PCなどにプロテクションをかけるのが正解だ。
日本では不要な余計な手間がかかるのだ。
日本では、省エネや電気代節約のため、使用時以外はコンセントを抜くことが多いようだが、フィリピンでは、電気製品を壊さないために抜く場合が多い。
ところ変われば、ナンとやらである。
(今朝となりの敷地では、ブタを2頭つぶしていた。)
(飼育している豚を潰して、解体して肉を売る)
潰して解体する作業は、田舎のフィリピン人男性なら出来る人が多い。
家畜は『生きてるお金』、不急のカネがいる時に売ってカネに換える。
(反対側の隣の敷地には正式には誰も住んでいない)
(ウチの敷地内の海側はこんな感じ。まだ何も建っていない)
とても暑い日だった。
学校は夏休みになり、夏真っ盛りだ。
そんな日にシコシコ、セッセと働く職人達に、氷水しか差し入れないこのフウテンは、血も涙も無い奴か。
特にラストスパートに入った屋根やさんは、大変だ。
自らも陽射しから逃れるすべも無く、その上ガルバナイズ度鋼板の屋根材料が、火にかけたフライパンのように熱くなっているのだ。
玉子を落としたら、本当に目玉焼きになりそうだ。
『熱地獄』とはこの事か。
暑さで手を抜かないでちょうだい、と念ずるが、ダメかもしれない。
こんな日は早く部屋に帰って、冷えたサンミゲル(ビール)を飲むべし。