チカリタビ~ィ
(今でもフィリピンの第一次産業の重要品、ココナッツから採る『コプラ』の干し作業。中央上はタバコの箱)
(いつも歩く現場への道、左側の軽トラの止まっているあたりが現場)
大ざっぱな現場仕事はだいたい終わり、やや細かい工程に入ってきた。
いつも普段は、一日に4~5回現場のチェックに行く。
そして順調なら、10分程度で引き上げる場合もあるが、たいていは1時間ほど、へばり付いている。
現場の作業時間は、月曜から土曜、朝7時半から午後4時半まで(たまに日曜も)なので、マア毎日行ったり来たりしているわけだ。
私フウテンはフウテンであるからして、カタギの方のように朝から晩までシコシコと働いたりはしない(=ホントはしたくない)のである。
大体が、日がなブラブラ、あっちを冷やかし、こっちをからかい、時間を遊んでいたいだけなのだ。
・・・・なんて、言ってみたいが、実際は今後の細工の図面を書いたり、これからの作業工程と必要資材、経費の分析など、部屋でデスクワークをする必要があり、現場にずっと居る事はできないのが実情だ。
例えば今日は水道配管の図面書きと、必要部品のリストアップなど。
前にも書いたが、現場を見ていないと、どうなってしまうか分からないから困るのだ。
こういうときは、勤勉なうちのワーカーが疎ましい。
今日も朝行って帰ってきて、しばらくしてからまた行くと、キッチンの窓枠と共に換気扇用の穴が仕上げを始めている。
窓は設計してサイズを決め、もう発注してあるから、早く枠を仕上げないといけない。
しかし換気扇はまだ買っていないから、開口部のサイズは未定なのだ。
開口部のサイズを知らないのに、どうして仕上げができるのだ。
理由は簡単、な~んにも考えないで仕事しているからだ。
(下は窓枠、中央が換気扇用の開口部)
お前は、預言者か、勝手に決めるな!
かと思えば、メイド用の部屋と洗濯室のドアの開口部の仕上げをしているのだが、どう見ても図面の幅60センチより広く見える。
リビングの天井を張っている棟梁のエンボイを呼んできて、何センチで作らせているのか聞くと70センチだと言う。
おい、チョット待て大棟梁エンボイ。
図面は60センチになってるだろう?
いや、図面は70センチになってる、とエンボイ。
持ってきて確認させると、何のことはない。
やはり60センチだ。
(メイドルーム、左が窓、右がドア用の開口部)
勝手に変えるな!
人には、得手不得手(えてふえて)や長所短所がある。
先人の教えのように、なるべく悪いところを見ないようにして、良いところをみて褒めながら人を使いたいのだが・・・。
どうもこの国の人たちは、個人プレーに走るというか、ルールに従ったり、決められた事を決められたようにすることが苦手なのだ。
産業革命以前ならそれも良いだろうが、・・・。
こういう国民性だからこの国では、競争力のある良質な工業製品は作れない。
フィリピンの『工業立国』の確率は、ハルマゲドンよりはるかに低いのだ。
優秀な人材は、フィリピンを見限り、収入の良い外国で稼ぎ、仕送りするのがこの国の流儀だ。
そしてその抜けたポストに、地方都市の優秀な人材が補給される。
その地方都市の空いたポストめがけて、田舎での優秀な人材が殺到する、という段取りだ。
したがって、ウチの近所のような田舎の村には、それなりの人材しか見当たらないという理屈だ。
幸いフィリピン人は日本人と違い、まだ子作りには熱心なので、ここ当分この国は従来どおり、各種労働力や人材を外国に送り、生業とするのが正解だろう。
国家が手配師、口入れ屋だ。
さて、日本に比較すればだが、仕事遅いこと、仕上がりがトテ~モ雑なこと、これはしかたないと思う。
しかし、分からなければ人に聞けばいいのに聞かない。
図面を見ない。
自分勝手な判断で間違ったことをする。
チームで仕事をする基本の〔ホウ・レン・ソウ〕、―――今時こんな事を言うと日本では笑われるのだろうが―――報告・連絡・相談が非常に少ないのだ。
今までも多くのフィリピン人と仕事をしたが、自分の勝手な判断で個人プレーに走り、ホウレンソウが無いのは、97%くらいの割合だ。
また繰り返し言っても、すぐ忘れてしまう場合が多い。
自信過剰と云うかなんと言うか・・・。
ミスをミスとは認めない。
間違えても『自分は正しい』、と思えるその神経は小心者の私からすると、とても偉大なのだが、それでは進歩がない。
誰かが言ったように、人は成功より失敗から学ぶ事のほうが多い・・・のだから。
このフウテンなどは、ミスすると「ごめんさい!」とすぐ小さくなって、自己嫌悪におちいるのだが・・・。
しかし失敗が人を賢くするなら、このフウテンは今頃はもっとまともな人生を歩んでいるはずなので、そうとも言えないのかも。
きょうは全く『愚痴(グチ)の巻』なのだ。
こういう〔徒労感〕というのはチョット疲れる。
昼間のウイスキーのように、ジワジワと効いてくるのだ(j昼間のビールはすぐ効く)。
どうしよう。
これでは、今後は全く目を離せないという事になる。
例えばこれから、ドアーを嵌める。
内開きか外開きか、ノブは向かって右か左か・・・。
タイルを張る。
どの部分にどの種類のタイルを使うか、アクセントタイルの高さは・・・。
照明、スイッチ、アウトレット(コンセント)の位置は、高さは・・・。
などなど、キリがない。
それが現場のアチコチで、同時多発するのだ。
私はワーカー相手に、保母さん並みの監視体制をひかないとならない。
ドアは19枚、タイルは総面積約300㎡、照明は49箇所、スイッチは27箇所、アウトレットは34箇所ある。
(買出ししてきたタイル、これで半分位。 いち度に全部は運べないから)
あすは、フウテンはフウテンらしく、ノホホ~ンと生きられるだろうか?
当分キビシイ。
時間があれば、クラブハウスと並行して、その後に建築する、『ボロ屋の古材を活用した独創的なコテージ』の設計プランもそろそろ決めていかなきゃならない・・・。
ボロ屋のパーツのチェックも必要だ。
材料&コストの見積もり。
(若いが3拍子そろったエリック、彼が7人いたら私はもっと楽だ。)
(ジミだが職人気質のロッキー、仕事の腕は確かだ)
私はひとりしかいないし、時間は限られている。
この際、多少のミスは最悪目をつむってでも、やらせるしかない。
作業するのは彼らだ、私一人の力では何もできないのだから。
慈悲深~いお代官様~!
オラを助けてくんろ~!
久々に落ちてきた雨が、フウテンの乾ききった心の耕地にも染み入るようで、心地よい。
強いが、どうせ束の間の雨で、また真っ青な空が現れるのだ。