(トライシクルに買った資材を積んで)
また買出しでした、セブ市ではなく近い隣の島の大きな町で。
ネジ、ペンキ、金具類、木製バルスター。
ウチはまだ車が無いので、夫婦2人で荷物を背負って、エッチラオッチラと店から店へ。
昔よく見かけた、総武線や京成のかつぎ屋のおばさんを思い出しました。
港までトライシクルで向かう。
奥様が55ペソまで値切ったが、荷物の重さで時速15キロしか出ず自転車にも抜かれそう。
連絡船に間に合わないかと思いました。
ギリギリのセーフ。
さて、お国が違えば、何かと変わってくる。
この前の例の新建材、エンバイロフレックスの天井に照明器具を取り付けるため、『パラシュートネジ』を探しまわった。
エンバイロは石膏ボードとまではいかないが、ネジが効きにくいと思ったからだ。
30年近く前の話だが、私は日本のタイガー(石膏)ボードに何かと細工をするのにパラシュートネイルを利用していたからだ。
下に木の桟が無い石膏ボード部分でも、ソコソコの強度でボルト・ネジが打てる。
探し回ってもどこにも見当たらず、セブ市の大型店も捜し歩いた。
そんなはずは無いと思うのだが、確かに無い。
正式名称は『ボードアンカー』というらしい。
釘やネジの効かないボードに対し、なかなか便利な優れ物で、当時(今からだと3~40年前)その形状から『パラシュート』と言っていた、私だけではないと思うが。
よくよく考えてみると、フィリピンでは石膏ボードのような建材が一般的ではないので、ボードアンカー(=パラシュート)も無いのだろうという結論に達した。
別の方法を考えないといけないようだ。
おはなし変わり、棟梁エンボイ。
3週間ほど前、屋根屋さんの工事が終わってしばらくして、
エンボイ: 「雨といの縦パイプ固定用の、プレーンシートが欲しいんだけど・・。」
と言ってきた。
プレーンシートというのは、波型をしていないフラットなトタン板のことである。
そんな物は必要ないはずなので、適当に。
私:「いいよいいよ、あとで。それより早くなかを仕上げようぜ。」
と適当に返事しておいた。
そんな話も忘れた頃、私はそろそろ雨といの縦パイプを取り付けないといけないな~、と考えていた。
パイプは、屋根屋さんのFから卸価格=格安で買ってある。
あとは外壁に固定するクランプが必要だ。
資材屋さんに奥様が電話した。
「雨といの3インチパイプの取り付け用クランプある?」
と聞くと、
「何だ、そりゃ?」
・・・・と言ってる、と奥様がいう。
「エッ、雨といをかべに固定するクランプだよ。」
「・・・??」
全くインチキ資材屋め。
そんな物も置いてないのか!
「半円形の金属ふたつが繋がっていて、パイプを固定して、それから壁に埋め込むネジやボルトがついているやつだよ。」
資材店オーナー:「知らない。」
田舎はこれだから困る。
ところが、セブ市の買出しに行った時、大手のホームセンター数軒で探したがやはり無い。
こうなったら最後の手段、『シティハードウェアー』の手なずけスタッフの賢いブライアンに聞く。
「見たことが無いです。」
彼も、普通は現場の職人がプレーンシートを加工して、雨といを壁や庇に取り付ける、という。
フィリピンに長いこと住んでいるが、初めて知った。
そんな小物まで神経がまわらなかった。
それからは、あちらこちらの近所の雨といを気を付けて観察した。
とは言えこんな田舎では雨といの有る家は限られているのだが。
通常は、雨水は屋根の端から地面に垂れ流しだ。
(厚めのトタン板を2~3インチ幅にカットしてコンクリート壁に固定する。雨水パイプをそのトタン板に巻き付ける・・・フィリピン流)
エンボイに、円柱の柱を作った時の型枠のプレーンシートを渡し、作らせた。
エンボイは、トタンより屋根屋のスパンドレル(軒下部分)の残材があるから、それを使って作ると言った。
とてもグッドなアイデア・・・さすが大棟梁だ。
ナンカ気が抜けて、どうでもよくなった私は、お前に任すから適当にやってくれと、無条件降伏。
あとは壁と同じ色に塗装して、なるべくこの細工を、どちらかと言うと稚拙な細工を目立たなくするだけだ。
日本の雨といのクランプ(日本での正式名称は知らない)を作っているメーカーの方へ、伝言。
「フィリピンで大儲けが出来まっせ。」
*以上は10数年前のセブ島の田舎でのことです。
2021年の今現在は、ボードアンカーも雨水パイプの外壁固定金具も、存在しているかも知れません。