「ヤシの葉葺き」屋根・・・その2
(縦に割ったバンブー=バンブースティック)
屋根のトラス骨組みはココランバー(ヤシの木の材木)なのだが、ニッパを葺く桟組みは竹を使うので竹(竹を幅5センチくらいに割ったものでバンブースティックと呼ぶ)を手に入れないといけない。
エンボイに何本くらい必要か聞くと「300本!」と言う。
これは当てにならない。
エンボイと1年ちかく仕事しているが、彼の見積もりが的確だったためしは、かつて一度もない。
(私フウテンがエンボイに必要量を聞くのは、マジメな顔で答えるそのデタラメさが面白く、私の楽しみだからだ。 最近はエンボイもそこらへんが分かっているようで、嬉しそうに見積もり量を言ってくる。)
実際の話、必要量を見積もるためには『計算』が必要なのだが、この国のひと達は計算が苦手だから仕方ない。
サプライヤーから買う方法も検討したが、ウチの大工のひとりVの土地に竹がかなりあると言う情報を得たので、Vから買ってやろうかと考えていた。
ところが翌朝、いきなり現場にVの家族(嫁と娘)が竹の束をエッサエッサと担いで現れ、(長さ12フィートのバンブースティックが)1本5ペソだと言う。
(オイオイ、まだ買うとは言ってないし、だいいち値段交渉もしてないのに。)
この奇襲攻撃に若干タジロイだが、体勢を取り直してちょっと高いんじゃ~、と1本4.5ペソで購入することにした。
それでもまだ少し高いが、新品(切りたてホヤホヤ)であり、竹喰い虫がつきやすい地面に近い部分の竹をカットしているし、必要に応じてそのつど注文できると言うメリットがあるので、良しとする。
だいいち、「何事も地元(の村)だいいち」だし。
Vの家族も小遣い稼ぎになるので、追加を云えばすぐ持ってくるのも都合が良い。
やっとこさ見つけた使用済みエンジンオイル塗布で防虫。
コテージのトラスの椰子の角材に、バンブースティックを貼りまわす。
防虫、防塩害で塗った使用済みエンジンオイルだが、作業スタッフの手は真っ黒になって悪い事をしたようだ(勘弁な~)。
これでバンブーの桟張りはお終い。
蛇足だが、エンボイの見積もりはまたもハズレ、300本が120本で済んだ。 少なめに外れるのは、10分の1くらいの確率か。
いつもは足りなくて追加、又は2度追加になる。
始めに300本注文しなくてヨカッタ。
”まず疑ってみる” そして ”ウラを取る”という、情けないけど、この国では必須なスキルは、私にとってはもうある意味で「楽しみ」の域に達しているのかも知れない。
(この国のビーチリゾートで比国人を『同僚』に働くことで=この時点で既に10数年=否応なしに獲得したスキルである。)
ヨッシャ~!
これで、屋根葺きの準備が完了だ。