ビーチボーイ&ビーチガールのクロニクル

南国ビーチで、ゼロからリゾートを建設し、営業し暮らした記録です

セブで家を建てる・建築許可証

敷地周りの塀の工事が終われば、クラブハウス兼我々の住まいを建築する段取りである。


(日本と違うこの順番は、もし先に家屋を立てようとすると、資材や道具などが夜中にちょっとずつ消えてしまう、という不思議な現象が起こるからだ)



さて、この国でも家を建てる際には、他の国々と同様に役所に申請し、正規に許可を取得する必要がある。



要求される公的書類、証明書のたぐい、正規の領収書、これらの数も半端ではない。


建築許可申請書、建築図面(衛生許可証、水道配管図と承認証、電気配線図と承認証などを含む)、資材の見積もり表、バランガイクリアランス(所属する村の許可証)、土地所有を確認するための国税税金納付証明、今年度の固定資産税納付証、その他などだ。


この国の弁護士や公証人との折衝も必要になる。




しかしこれは建前で、実際には地方の田舎で庶民が家を建てるときは、無届けアッタリマエ、勝手に作り勝手に住んでいる場合が多い。


当然ながら、書類上はその家は存在しないので、固定資産税なども発生しない。


また、大風が吹けば飛んでしまうような、端材&ニッパ葺きの家は建築許可証は要らない。


ない袖は振れぬ、お金の無いところからお金は取れないので、別に当局からのお咎めも無い。



ところがこれは、お金持ちと思われている我々外国人には通用しない。



仮に正攻法の手続きを無視して建物を作れば、後で問題が起こるというか、起こされてしまうことが多い。


最悪「取り壊し処分」ということも有り得るのだ。


また、こうした正規の手続き、面倒な作業はあくまでも「許可」を取るためだけのことであって、その図面どおりにやってもまともな家は出来ないという、非常にいい加減な図面、それこそ、ただの絵空事なのである。


もっともこちらの建築作業員は、驚くなかれ図面を読めない人が多く、図面どおりに作る事そのものが困難であるからして、幸か不幸か現場での家作りには差し障りない。


ではどうやって家を建てるかと言うと、現場での建て主と現場監督の采配で作るのである。


出来上がってみると、申請プランとは別物が出現することが多い。
例えれば、映画を作る際、よく監督によってはシナリオを重要視せず、脚本とはだいぶ違った映画が出来るというが、それに近い。


いずれにしろ、許可のためだけの書類の束に経費と手間をかけるなど、効率の悪いこと甚(はなは)だしいが、こちらのスタイルなのでしかたない。


役所の人間は、ごく一部の例外を除き、いち様に高飛車、傲慢、怠慢、場合によってはあからさまに賄賂を要求する。


例えばの話し、国税局の納税証明は、請求してから発行されるまで1ヶ月以上かかるなど、仕事ぶりは超スローなのだ。


おまけに我々のような善人は、特に税務署の場合、関係する係り全員に潤滑油=ワイロ=を注ぐ事が必要だ。


ワイロなしでは、朝から夕方まで待たされ「また明日来い。」というセリフを繰り返され、何度も無駄足を踏まされるだけで、ラチがあかない。(フィリピンに限らず、多くの途上国とはそういうモノかも知れない)


ウソのようなホントの話だ。



しかし、このワイロを必要経費と考え最低限に抑えることが出来れば、これは考えようによっては誠に良いシステムである。


態度がガラッと変わり、友好的になる。


「融通が利く」ということになる。


例えば、運悪くスピード違反をして5万円の罰金を国庫に納めるのと、3千円のご苦労さん手数料を払うのと、貴方はどちらを選択するであろうか?


例えば、5時間も役所のプラスチック椅子で待たされるのと、200ペソ(6百円)で済ませ、サッサと帰るのとどちらが好いだろうか?



善悪はともかく、ここは世界にはよくあるそういう国なのだ。





そして、こういう書類の取得や作成、申請手続きには、私のようなインチキ英語、はんぱタガログ語&英語のフウテンオヤジはあまり役に立たない。


かといって人に頼めば、それ相当かなりの手数料を払うことになるので、面白くない。


そこで最愛の奥様Mの独壇場となる。
何しろ運転のウの字、自動車のジの字も知らないのに、単身でセブ市の陸運局に乗り込み、口先八丁だけで運転免許証をせしめた前歴がある。


念のため申し上げておくと、このMの運転免許は本来の目的に使ったことは無く、身分証明として利用しているだけである。(パスポートの常時携帯はリスクが高いから)


また日本の運転免許は持ってないので、皆様ご心配なく。




それにしても、うちの建築許可証はいつ出るのだろうか?


並みの日本人ならとっくにキレテしまうのだろうが、この国のペースに腹を立てたら負けである。


これは我慢くらべなのだ。


日本では人一倍短気なフウテンオヤジだったが、フィリピン修行の成果か、今はめったに沸騰しない。



小さい頃から、オッカさんに「短気は損気だよ」とよくたしなめられたが、やはり母親というものは常に正しい。



オッカサン、今ごろになって気が付くバカ息子で、本当にごめんちゃい。

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