仰天!ジンベイザメ事件・・・第1章
『ソレ』は、波打ち際でもがいていた。
フウテンおやじ妻です。
お昼休みが終わり、午後1時、現場工事の再開。
お座敷まで様子を見に行くと、ペンキ職人カミーロが、ニヤニヤしながら海を見ていました。
その不気味な姿に興味をそそられ、「何かあったの?」と聞いてみると・・・
『サメが獲れたみたいだ』と言うのです。
カミーロのギョロ目の方向に視線を移すと、確かに二人の漁師がバンカボートに乗り、浜には野次馬、そして数人のおやじ達が、必死になってロープで何かを引っ張っていました。
と、水面に大きな背びれが見え隠れ・・・
そのとき、フウテンも現場に到着。
サメの件を伝えると、「カメラ、カメラ~!」。
アシスタントのJ,息子、子守りのおねえちゃん、管理人のおばちゃん、ヘルパーの女の子と
皆でそれ行けっ、とばかりに海辺へ。
そこには可哀想な、漁師の網にからまってしまった、ジンベエ鮫(以下ジンベエ)がいました。
約4.5メートルとジンベイザメにしては可愛らしいサイズ、まだ子供です。
からまった網(矢印)とジンベエ。
ここでちょっと、ジンベエザメについて説明させていただきます。
世界最大のサメ、世界最大の魚、ジンベエザメ。
現在知られているジンベエの成魚のサイズは、最大21m。
しかし資料によってそのサイズは異なり、今もって確実な数字ははっきりしていません。
(借り物画像です)
参考までに、スクーバダイバーと比較するとこんなかんじです。
余談ですが、私の場合、実際ダイビング中に遭遇しても、最初はジンベエ鮫の模様しか目に入ってきません。
「何か見覚えあるぞ?」と思っていると、その模様はずんずんと進み、「ジッ ジン ベエ!!!!」となるわけです。
映画の”ジョーズ“のように、ジンベイが現れる前に、あのBGMが鳴り響くわけではないので、ダイビング中のジンベエ遭遇の驚きと感動といったら、言葉には表せません。
さて、話を戻し。。
ジンベエザメは、体の模様が着物の甚平に似ていることから、その名前が付けられたといわれています。
ダイバーの間では、とても人気です。
英語名は Whale Shark (ホエールシャーク)。くじら (Whale)のように大きなサメ(Shark)、ということからこの英語名がついたようです。
世界中の熱帯・亜熱帯に生息し、回遊して、基本的には単独で(繁殖を除き)集団では動きません。
体に似合わず、エサは小魚やプランクトンで、巨大な口を開き、海水と一緒に食べ物を吸い込みます。
ジンベエザメは絶滅の恐れがあるため、また乱獲(かつては食用だった)から保護するため、2002年11月にワシントン条約の保護種に登録されています。
(借り物画像です)
本当は、この子ジンベエも成長して、こんなふうに優雅に泳ぎ回るはずだったのに。。。
お隣の漁師の言うことには、前の日の夕方に張った網に、ひっかかってしまったそうなのです。
(ウチの前の浅い海では、イワシやアジを獲る刺し網が、頻繁に仕掛けられます)
ナイロン製の網は、もちろんジンベエなら簡単に引きちぎってしまうのですが、今回に限って頑丈な繊維で作られている網だったので、不運なこの子ジンベエ、からまってしまいました。
かわいそうな子ジンベエ、しかしまだ生きています。
網の持ち主や漁師達が、約4メートル半の子ジンベエを浜にあげようと必死です。
丸太でジンベエを押す、という無謀な作戦にでる:漁師その1
今頃、からまった網をはずしている:漁師その2
なぜ最初にそれをしない?
沖で網を外せば、ジンベイは自由になれたのに・・・・
(始めから彼らは、あくまでも『食料』として、獲り込もうとしているのです)
なんとか、からまった網はとったものの、波があり中々うまくいきません。
というか、ジンベエが重すぎます。
500kg以上は、かるくありそうです。
漁師たちは、尾をロープでくくり、他方をヤシの木に縛った。
いくらもがいても、もう沖に出られません。
もがく・・・・・
『イヤだ~!』と、もがく・・・・・
砂浜のジャリに皮を擦すられて、傷ついた子ジンベエ。
血が滲んで赤くなっています(画像では見にくいですが)。
野次馬がどんどん集まってきます。
無知な野次馬は口々に・・・・
『これはサメだ』
『いや、これはイルカだろ』
『この身は食べれないけど、レバーだったら食べれるぞ』
『これは高級魚だから、1キロ100ペソだろう』
などなど・・・勝手なことを言い始めます。
そして数人の野次馬は、滅多にないこの機会に、触っていました。
私は気になって、管理人のおばちゃんに聞いてみました。
私「これ、みんなで食べるの?」
おばちゃん『さっき役場の漁業課を呼んだから、もうすぐ彼らが到着するはず』
私「それでどうするの?」
おばちゃん『役場の方に運んで、原因を調査し、埋めるんじゃない、人間と同じように』
私「え~ほんとっ?本当にそんなことするの? 持っていくって云ったって、これ500キロ以上はあるから、そんな簡単じゃないでしょ~。」
おばちゃん『でもいちおう、漁業課には規約があるから、運ばないといけないんです。』
と真面目な顔をして言う。
私「とかいって、数時間後にジンベエの切り身が市場に並んでたりして!」
おばちゃん『それは絶対ない、はっはっは』
原因を調査?
なんの原因?
だって、これ“網にひっかっかって弱ってしまった、ジンベエの子供”以外の、
何ものでもないんだけど。。。
そんな中、漁師達は今度は上半身にもロープをかけた。
もうこれで絶体絶命。
ジンベイの命は風前の灯火。
そして、昇天した。
やっとのこと、ジンベイを浜へ移動できた漁師達。
またもや野次馬達が言い始めました。
『食べれる?』
『食べよう』
『食べれるんだ』と。。。
彼らは浜で解体することを選んだ。
そして漁師の一人が、ジンベエの尾っぽあたりを今まさに山刀で切ろうとした、そのときに・・・
誰かが怒鳴った!
『〇×△〇×△〇×△!』
そう、漁業課のスタッフが来るから、ダメだぞ、と忠告したのでした。
『解体して喰えば、刑務所行きだ!』
まもなく、オンボロバイクに乗った漁業課のフィリピン人3名ほどが到着。
一見、ただのおっつあんで、本当に役場からやってきたのか?!
しかしよく見ると、いちおう、役場の名が刺繍されたポロシャツを着ています。
そのおじさん、眉間にシワを寄せ、ジンベエを真剣にぐるりと見回り、何やら大ごとのように携帯で連絡。
その時、大勢の野次馬は、(もうこれで、この大きな獲物は食べれなくなった、残念無念)と諦めたのか、ザワザワしたのでした。
それから、待つこと数十分。
そいつはやってきました、颯爽⁽さっそう⁾と。
私はびっくり、
息子は大喜び、
大勢のヤジ馬は、大爆笑。
すみません、長くなりました、次回に続きを投稿いたします。