怒涛のセメント打ち・・・①
(いよいよだっ。)
2階のスラブ(床)と1階天井のビーム(はり)のコンクリート打ちだ。
1日で仕上げる事が必須だから、マシーン(セメントの)ミキサーをレンタルする。
準備と段取りは、昨日までのうちにしっかりとやっておいた。
後は雨が降らないよう祈るだけ。
ありえるミキサーの故障などのトラブルも怖いが。
どうせ残業になるので、朝1時間早め、6時スタートと20人全員に告げた。
当日、ハリキって6時ちょっと前に奥様Mと行く。
やはり誰も来ていない(よね)。
ミキサーも来てない。
「これが青春だ!」じゃなくて、これがフィリピンだ。
古くてゴメン、そういえば、夏木陽介はたまにフィリピン映画に出ているらしい――。
あれ待てよ?
夏木陽介は「青春とはなんだ」だったかな?
「これが・・・」は竜雷太で、・・・そのあと「太陽にほえろ!」のゴリさんになって・・。
まあ、今はどうでもイイ。
待つ間もなく、一人来た、もう一人来た、さらにひとりと・・・。
ミキサーは6時半ごろ到着。
そして最後の一人が来たのは、7時近かった(これを『フィリピンタイム』という)。
仕事の手順を簡単にご説明すると・・・・
・ミキサーを回しながら砂、砂利、セメント粉、水の順にぶち込み、練ったら下の箱型に組んだ地面にぶちまける。
・それを小さなバケツにスコップで入れ、人力ロープ滑車で2階に上げる。
・それを2階でバケツリレーして型枠に流し込む。
こんな感じで20人を各担当に振り分ける。
疲労度の高い作業もあるので、公平を期すため、時々担当交代を行う。
生コン車&ポンプ車などは、こんなイナカ町には存在しない(あったとしても人力のほうが安い)のだ。
人海戦術あるのみ!
「者共、決戦の時は今だ~!」
「かかれ~ィ!」
「ニイタカヤマのぼれ~! トラ・トラ・トラ~ッ」
「(でも怪我だけはしないでね・・・)」
(滑車から遠いコーナーから、セメントをブチマケていく)
この国でも、セメント打ちは現場の特別な日である。
従って、食事、おやつ、飲み物は、全部が建て主の提供負担となる。
その代わり休憩時間は少なく、残業手当は多い。
稼ぎ時なのだ。
エンボイもあちこちと指示に忙しい。
現場に活気がみなぎる。
皆いつもより動きがいいようだ。
仕事ではほとんどアドレナリンは分泌されない・・・と思われるフィリピン人だが、こんな時は少しは効いているらしい。
何とか無事に終了した。
しかしこんな時でさえ、目に生気がなく、スローモーションのように動く省エネに長けた?ワーカーもいるのだ。
若いのに、恍惚の人、なのだ。
こういうのは、大物なのかバカなのか、私には分からない。