ビーチボーイ&ビーチガールのクロニクル

南国ビーチで、ゼロからリゾートを建設し、営業し暮らした記録です

その男、エンボイ


上のピノイ(フィリピン人)、今の計20人の現場の監督を任せている。


フォアマン=エンボイ。


たたき上げのキャリアが長く、人をまとめ働かせるリーダーシップもある。


自分が率先して動くタイプだ。


しかも自分の仕事をしながら、けっこう他にも目を配っている。


職人かたぎな性格も、ズルや意図的なごまかしをしないのも好感が持てる。


(冷静なエリック=器用でマジメで英語もそこそこ話せる=の兄貴分でもある。)


“一流”とは言えないかも知れないが、このド田舎では、エンボイ以上の人材を見出すのは難しいと私は思う。


このように私、フウテンは決して彼エンボイを嫌っているわけでもなく、評価していないわけでもないのだが・・・。




しかし、同じ目的とは言え、日本人とフィリピン人、というより人と人が一緒に働く以上、軋轢(あつれき)というほどのことはないが、問題は起こる。


彼には彼のスタイル、やり方があり、私フウテン親父にも都合もある。


困るのは、エンボイにほとんど英語が通じないことだ。


私は彼らのビサヤ語は、片言だし。


言葉が通じないと、当然だが、コミニュケィションをとるのが難しい。


英語だと通じなかったり、誤解されチンプンカンプンな答えがくることがある。


タガログ語で話すと、まだましなので、私は英語混じりのタガログで話している。


ウチの奥様Mのような流暢な英語だと、キョトンとして全く通じない。


一般的に、たいていのフィリピン人には、私レベルの英語のほうが良く理解できるのだ。




問題の原因の多くは、今回のプロジェクトは、コントラクト=請負仕事?=ではなく、こちら(建て主)が・・・・


・プランと見積もりを立て、
・仕事の指示を出し、
・必要な材料を提供し、
・彼ら作業員の日給月給を払う、



という方法でやっているから起きてくる事が多い。


住宅を建てる際のこのスタイルは、当地では多い。


勿論、日本風に、家を建てる時に建て主が工務店なり建築士に建築費を払いお任せする、という方法はこちらにもある。


しかし、例の『姉歯事件』ではないが、そうすると業者は利益を出すために、材料をケチったり、いい加減なやっつけ仕事をする場合もあり得る・・・と云うか、この国では大方はそうなる。



このあたりは、世界中似たり寄ったりだと思う。


私は日本でもこの国でも、そういう例を見ているので、敬遠したのだった。



今の日本では、多くの民間住宅の主流は〇〇ホームや△△ハウスで既成デザインの規格品や、そのモジュールの組み合わせによるオーダーメイド風の『建売を買う』感じのケースが多いのではないか。


仮にオーダーメイドでも、多くのパーツは『工場』で作られ品質は一定だと思う。


その場合にはこんなリスクは少ないと思う。


(以上、間違ってたらごめんなさい。)





このクラブハウスの場合は違う。


希望すれば、どんなイカレた、あるいはイカシた建物も作ることが出来る。


私の思うまま・・・か、と云うとそうでもない。


フィリピン人のイナカ棟梁である、エンボイを納得させなければならない。



ボスはどっちだ、エンボイ!



お金を出しているのはこちらなので、一方的に押し付けることは可能だ。


しかし、それでは彼の男が立たない。


その結果、私にとっても不利益になることもあるのだ。



エンボイは、自分が納得いくやり方で、最高のものを作ろうとしているのだと思う。


私は、工期やら建材費、人件費などが気になる立場上、彼のやり方に異を唱えることもある。


コントラクト(請負)で発注しても、この国では、結局は仕事を常時監視する必要があるので、苦労は同じだろう。


また今のシステムだと、設計変更にも柔軟に対応できる。


経験のある方も多いと思うが、実際に実物の形が見えてくると、細かな改良点はいくつも出てくる。


だったら、このほうが、まだお互い気分良く仕事できるだろう、ということだ。




変更や作り直しを彼らは歓迎する。


仕事が増え、自分の雇用期間が長くなるからだ。



工事の完成が近づくと、目に見えて仕事が超スローぺースになることも、今まで働いた他のビーチリゾートの仕事で何度かあった。


終了と同時に仕事にあぶれるから、終わらせない、という全く子供じみた抵抗なのだが、大のおとなが平気でする。


ゆえに、一度自分が作ったものを壊すことにも、アッケラカンと無頓着だ。


しかし変更のたびに、私は変更図面を引き直しコピーして、エンボイに渡し細かく説明しなければならず、これがけっこう大変なのだ。


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