キレイになった けど 珍獣たち
(舗装工事前のウチの前の道路)
冒頭のタイトル、「キレイになった」と言っても、奥様Mではない。
私の奥様Mは、もともとキレイなのである。
キレイになったのは、前の道路だ。
今(=10数年前)は「現場」と呼称しているが、将来的には、「ビーチリゾート」の前の道であるからして、どうでもいい事ではない。
この道路、比国では『ナショナル・ハイウェイ』と呼ばれる”国道”である。
別に今まで荒れていた?汚かった?わけではないのだ。
一般的には、フィリピンの道路の路面状態は、日本の一般的な道路を10点とすれば、最高のところでも、4~5だと私は思う。
現に私が以前6年ほどいたルソン島の地方では、道路は未舗装部分も多く、仮に舗装されていても、ヒビだらけ穴だらけだったりした。
補修工事などは、未来永劫しそうもなかった。
道路工事の利権に汚職が絡み、予算がリベートに食われ、手抜き欠陥道路となりすぐに穴とヒビだらけになるのである。
そして、雨や台風でもあれば、山側のガケが崩れ通行不能となるのは、毎年のことだった。
ひるがえって、ご当地セブ島。
さすがに世界有数の観光の島である。
ルソン島の道路を10点とすれば、セブ島は18くらいか。
海沿いの国道は無論、枝道もたいてい舗装されているし、穴などは見当たらない。
(ウチの前、北側の道)
これでもフィリピンでは立派なもんだ。
もちろん穴などはなかったが、舗装の継ぎ目というか、センターライン沿いと10メートル置きくらいに細い溝があり、それがヤヤ気にはなっていた。
車で走ると、この溝にタイヤが反応して、振動が出るのだ。
ところがある日、道路際に焚き火してコールタールを溶かし、この溝を埋めていく一団が出現した。
その数日後、アスファルトを満載した大型トラックが何台もやってきて、ロードローラーなども走り出し、アレよという間に黒々としたアスファルト舗装ができたのだ。
(フィリピンには、あるまじきキレイすぎる道路。ウチから南方向)
(北方向)
最後に歩道に小石混じりの薄茶の土を投入して、おしまい。
まさかここを再舗装するとは思わなかった。
フィリピンにしてはとても手際がいい。
(白線も引いて終了、これは南側)
道が良くなることは、人にとって都合が良い。
しかし、その結果として、高速度で走る車が増え、野生動物にとってはさらに暮らしにくい環境になっていく。
道路が彼らの行動範囲を分断し、命を奪う。
道の悪い地域には、オオトカゲや大蛇などの爬虫類や山猫、ジャコウネコなど野生動物が生息している。
人が増え便利になればなるほど、彼らの生息域がせばまり、数が減少する。
(車に轢かれたオオトカゲの子供、長さ1mくらい、赤白はタバコの箱)
私が見たオオトカゲの最大の個体は3m以上で、道路をふさぎながら横切った。
『ザザッ ザザッ』っと道を削るような音を立てながら。
私の乗っていたジープニーは止まって、乗客も全員が無言で見送っていた。
まるで、四つ足の怪獣が歩いていたような感じだった。
(上はもう少し田舎で、5年前撮った写真である)
これも同じく車の犠牲者、ナントカ大山猫?か?・・・
私はこの時点で比国のド田舎に10年近く住んでいたが、こんな生物は見たこと無かった・・・
このオヤジは屍を『買わないか』とウチに持って来た。
あまりにも美しい毛並みだったので、画像だけ撮った。
ここセブ島O市はそこより少し拓けているので、これらワクワクする動物はあまり見ない。
だが、「道が良くなった」と単純に喜んではいけないのかも・・・・
*このブロブは”クロニクル”。当時、つまり約10年前の記録から綴った記事であり画像である。