ナゼに? フィリピン?
(リゾート前の道に出て南側を見ると )
今、日本の熟年世代の海外移住が、話題になることが多いと言う。
実際に相当数の日本人シニアが、海外に生活の拠点を移している。
ご当地セブ島でも、シニア日本人在留者を頻繁に見かける。
(これは北側、ねむの木、ここらで云う『アカシア』の木の枝がトンネル状に伸びている)
わが奥様M(←日本人です)は、当地に住まいする日本人を見ると、よせばいいのに、無礼にも
「なぜ、フィリピンなのですか?」と質問するのが常である。
(オイ、オイ、またヤッテルよ、と私は内心ヒヤヒヤする。)
私が思うに、Mは自分自身が、何故、今ここに居るのか、が納得できないからだ。
そりゃ、そうだ。
Mのような美貌と才能に溢れた女性なら、日本はおろかどこの国でも、誰が相手でも、成功するに違いない(・・・・ほとんどゴマすりだが)。
フィリピンといえば、日本の風聞では、危険、汚い、治安が悪いと3拍子揃って名を馳せている国だ。
もちろん上には上が・・否、下には下?も有るが、Mは、『あなた様、よりによって住むにこと欠いて、フィリピンは無いでしょうよ、』というのが、Mの言外の言葉なのかも知れない。
あるいは、M自身のまだ知らないこの国の魅力など、その方々から聞き出せるのではと考えているのかも知れない。
このフウテン自身も、フィリピンに住み始めて既に長い。
それも企業の駐在員の方々のように、何不自由無い立派な環境ではない。
場所は田舎オンリー、フィリピン人と同じ暮らし、地元密着の生活もした。
であるからして、この国のネガティブな面を散々見聞きしている。
しかしこの国にも、いや、どこの国にも良い点もあるのである。
私は日本人だから、日本の食べ物や習慣に馴染んでいるし、言葉も分かり知己も少しはいる。
では、私にとって日本が最高に住み良い国かというと、一概にそうとも言えないと思う。
こういう話は、本当にキリがないのだ。
ごく特殊な人を除いて、世界中の国に住んでみて、その方にとってのユートピアを選び生活するなんて芸当は、出来るわけは無い。
人ひとりに与えられた時間も、人生も期限付きだ。
(ウチの椰子の木)
仮に、私が奥様Mに上記の、
「なぜ、フィリピンなのですか?」
と問われたら、私は即座に、自信を持って答える。
「ナリユキ、成り行き、です!」と。
だってそうではないか。
誤解を恐れずに言えば、世の賢人はともかく、私は凡人、しかも根無し草となったフウテンオヤジである。
尊敬すべき両親から生まれはしたが、成り行きで学校に入り、ブラブラし会社に入り、ドロップアウトし、いまも成り行きの人生をおくっている。
大きい声では言えないが、すべて私が悪いのだが、まったく『傷だらけの人生』なのだ。
はばかりながら、何一つ自慢できることが無い、すべて中途半端なダメ人間だ。
「フーテンの寅さん」じゃないが、ホント、人様に迷惑かけどおしの人生だ。
歌の文句じゃないが、『♪め~かた~で、お~とこ~が売れるなら・・・』 とっくにきれいサッパリ売ってしまいたいくらいのクズ野郎なのだ。
確かに私にも、プランの様なものはあった。
人並みの向上心も矜持もある。
しかし、運命論者ではないが、人生には自分の力ではどうしようも無い事が多々ある(あったと言うべきか)のは、この年になればおのずと分かる。
率直に言って、私はこの国にずっと住み、ここで死にたいとは、「希望」はしていない。
叶うことなら、その気になればスキーにも行ける「温暖な地中海沿岸の欧州で暮らしたい!」、などと云う身を弁(わきま)えぬ「夢」もある――ーー実現しないだろうが。
しかし、しかしである。
何故か縁あって90年代フィリピンに流れ着き、今はここセブの片田舎で有難くも活かされている。
しかも、現在おぼろげにしか形の見えていないビーチリゾートが完成することを、多くの人が待ち望んでいる。
私のようなハンパ者に期待し、託してくれている人達がいるのだ。
奥様Mも全面協力してくれている。
これは稀有な事と同時に、私には非常にありがたいことだ。
ここで気張らにゃ~、男がすたるのだ。
こうなると、ブタもおだてりゃ木に登る。
フウテンも調子に乗れば、本当にリゾートを作ってしまう、かも知れないのだ。
どうせ私には、先のことなど読めない。
ゆえに、それがベストかどうか判らなくても、とにかく、今出来ることを私はやる。
これがフウテン流だ。
今までも、ずっとそうやって生きてきた。
今さら変えられない。
不器用な生き方しか出来ない私には、ただそれだけなのだ。
(ウチのリゾートのプライベートビーチ)
セブ島は、存外、いいところなのだと私は思う。
このフウテンには、お似合いなのだろう。
奥様Mさま、こんな男でゴメンチャイ。
(以上の記事も、当時=10数年前の記録に基づいています)