石の壁・・・②
前回の続きである。
(実際施工するとこんな感じになる・・・天井板はまだ張っていない)
この用心深いフウテンのこと、まずメイド用のシャワールームの壁で試作してから、ゴーサインを出した。
施工担当は、左官ナンバー.1のロッキー。
全く無口で、仕事に没頭する、芸術家タイプだ。
(もちろん作業はこれで終わりではない)
全体に光沢を出す加工をするつもりである。
あまりに面積が広いので、エンボイがもう一人入れてみた。
始めてしばらく、困ったことになった。
(↑の画像2枚、 助っ人が、へたくそなのだ)
①面(ツラ)から石が出っ張りすぎている。――見た目不安定だし、実際これでは剥がれる。
②石と石の間隔が不ぞろい。――雑な感じがする。
③セメント部分の表面がデコボコ、ギザギザだ。――基本的なスキルがなってない。
④石の表面の汚れに無頓着。
ざっとこんな感じだ。
始めた直後は、石をただ列に並べて皆に笑われていた。
どんなひどい職人でもプライドだけは高いので、注意のしかたが難しいが、責任者として、しないわけにはいかない。
ひとつひとつ指摘して、改善を促す。
(助っ人の貼った壁、なんども直させてこれである。)
多少は良くなった。
しかしダメダ。
私のプランが台無しだ。
『センスが全く無いのだ。』
(名人ロッキーの作品、画像では分かりにくいが、斜めサイドから見ると、助っ人とは全然違うのだ)
石の面がウネっていない。
エンボイをそっと呼んで、今の場所が終わったら、助っ人の彼にはもうやらせないで他の仕事をあてがうよう言った。
当然エンボイも分かっているので、苦笑いだ。
(ちなみに、こちら↑はエンボイの作品で”ラウンジの円柱”)
歪みがないキレイな円柱形、コテ一本だけでの仕事だ。
エンボイも棟梁を張るだけあって、左官も良い仕事をする。
そのダメな助っ人の彼も、ただ平らにモルタルを施工するのは出来る。
だが3次元になると、素人もマッサオ?になってひっくり返る?仕事をするのだ。
給料一緒でこれは、私には辛い。
器用で速い日本人に比べ遅いのは、全員一緒(エンボイもロッキーも含め)なので我慢する。
しかし、その出来上がりまでヒドイのは困る。
マァ、人には得手不得手がある。
ここは日本じゃない、腹をくくって我慢しよう。
それに日本の腕の良い職人に較べれば、10分の1の給料の人たちなのだから。