廃屋は宝の山・・・その2
(カピス貝の障子窓)
前回の続きです。
以前も紹介したが、これぞアジアン、これぞフィリピン、という雰囲気だ。
『カピス』という名の貝の貝殻を薄く削り、四角に切って格子に組み込む。
木材と同じように、近頃の新作は、カピスの乱獲が祟って減少し非常に高い。
しかも貝のサイズも小さくなっている。
上の画像のような、格子が大きいカピス障子窓は75年前に作られたからで、現在の新品ではほとんどお目にかからない。
もともとはスペイン統治時代に日本の障子を真似たというが、どうしてどうして、その硬質な涼感は、優雅さと共に気分が安らぐ。
当然雨に濡れても、ノープロブレム。
しかも、紙の障子と違い張替えは不要だ。
埃が付いたら水を掛けて洗うだけ。
少し桟のが痛みがあるので、リストアは必要だ。
(ハーフムーンのガラスの灯り取り)
かんたんな材料で、良い味出している。
単なる色ガラスだから、新たに作成も可、か。
(天井下、欄間の通風用飾り仕切り)
デザインが変わっている・・・どこの文化の影響を受けたのか分からない。
ヨク見ると稚拙な彫り方、中学生の夏休みの工作レベルですが、それがまたフィリピンらしい。
電気の無い時代に建てられた家なので、後付けの電線(画像の白い線)はむき出しで鴨居にとめてある。
考えてみれば、当時は電動の糸鋸切りもない。
手ノコ作業だからこんなもんだ。
あとは、コイツを活かす為どこに使うかだ。
これらのパーツは、75年の月日を経ている為、それぞれが『存在感』がある。
人と同じで、歳月を経た『貫禄』のようなものがあり、それが存在感となるのだろう。
新品ではこの味は出ない。
また木材は、現在の品より高級品だしキッチリ乾燥している。
しかも木材の凄いところは、一皮剥けば新品同様と云うか、新しい命が吹き込まれる。
そして、それは新品以上のクオリティーを持つのだ。
良い木材は不死鳥だ。
昔は木は切り放題だったから、その後遺症で森は荒れ、現在は各地の自然林は保護されている。
よほど山奥にでも行かない限り大木、良木、珍木は無い。
しかもご禁制なので、値段は非常に高い。
そこらの材木屋さんには、よい木は売っていないのだ。
自分で山を所有していれば別だが、素人には手に入らない。
さてこれらの素材をどう料理するかは、私の腕の見せ所なのだが、私にはそんな腕やセンスがあるのか・・・。
大棟梁エンボイや巨匠ドドンあたりと相談しながら、コツコツやる。
基本的には、今(=当初)は高床式のコテージを考えている。
コストは増すが、風通し、見晴らしが良く、虫が侵入しにくいからだ。
アジアの田舎といえば、『高床式家屋』のイメージが私にはある。