ウチのクラブハウスの正面に向い合せ、1列に5本の若い椰子を植えました。
これらは、はじめから植わっていたのではなく、敷地内の他の場所から移植、並べたものであります。
その中のいちばんゲートに近い1本が、どうも芳しくなかったのであります。
原因はこの木の植え替え時、今から10ヶ月前にさかのぼります。
去年6月の写真です。
植え替えの際、力がない職人達が木が重いから動かせないと、上の画像のように、ほとんどの葉を切ってしまったのであります。
そして10ヶ月を経過しました。
いちおう次々と葉は出てくるのですが、成長する前に枯れてしまい、他の椰子と比較すると一抹の寂寥感が漂っています。
おまけに最近は上の写真のように、指などスッポリと入る穴がふたつ、幹にあいています。
何か怪しげな『?』な穴ボコでございます。
私フウテンは、決断を迫られました。
この木を残すか?
他の木とさし違えるか?
悩みました。
・・・木が可哀そうですから。
奥様にも相談しました。
そして3日後に決断しました。
涙をのんで、このヤシの木を処分して他の若木にチェンジすることを。
ここはウチに来たお客様が、最初に目にする椰子の木です、重要です。
掘り返し作業を見ていると、
「バコカンだ!」
「だめだ、こりゃ。」
「こうなると枯れちゃうんだ。」
「バコカンか。」
などと職人達が話しています。
聞き捨てならないので、
「バコカン、って何じゃいな?」
と聞いてみますと、
「虫でっせ。」という。
『バコカン』とはフィリピン語です。
“BAKOKANG”と表記します。
そこで私はピンときました。
上の写真の穴です。
クワガタ(もしくはカブトムシ&カミキリムシ)です。
フィリピンのある東南アジアは、知る人ぞ知る昆虫の宝庫です。
そして、“BAKOKANG”とは、クワガタやカブトムシ(&カミキリムシ)のことです。
種類が豊富で、日本では見たことのない形の角を持つものもいます。
椰子の若木は甘い樹液タップリ、しかも皮がそんなに硬くないので好物なのでしょう。
捕まえてフィリピン1号にあげようかと思い、穴のあたりで木をブッタ切ってみました。
黒くなった穴は幹の中心に達し、縦に貫いています。
木の成長点の甘い樹液を、大食いしていたのです。
しかし、(トットと逃げたのか)肝心の宿主は見つかりませんでした。
ウチの椰子の木を痛めつけた犯人は雲隠れ、命拾いをしたようです。
敷地内の別の若木を掘り起こし、あとに植えました。
実はこの若木は半年前にも一度移植した木です。
一度切られた根の先から、新たに根が出ているのがわかります。
『なるほど~』という感じですね。
でも、半年の間に2度も植え替えて、大丈夫なのでしょうか?
今度は丈夫に育ってくれと、祈るばかりであります。
水をタップリとあげようとしたら、タイミングよくスコールがザ~ッっときました。
手間が省けました。
ヤシの木はある程度成長すると、もう昆虫被害は受けません。
なぜなら成長点が高くなると、『フルーツバット』が成長点=木のトップに棲みつくことが多いからです。
フルーツバットとは、羽を伸ばすと4~50センチのコウモリ。
果実や木の実を主食とし、昆虫も食べます。
夕方から朝までが活動時間、ヤシの木の天辺などをねぐらとして休んでいます。
そして人間は、時々このフルーツバットを食用としています。
マンゴーなどを食べに来たところを、空気銃やパチンコで撃ち落とします。
私も何度か食べました。
上手い人が調理すると、美味です。