ビックラコキマロ『シロアリの蜜』
ハチミツ、蜂蜜を知らない方はいないだろう。
ローヤルハニーとか。
あの6角形の蜂の巣に溜まる、蜂蜜である。
ハチが一族の為に懸命に集めたものを、人間様がおおっぴらに盗んで、堂々と売っているハチミツなのである。
私はそういう方面の知識はないが、私の拙い認識では・・・・
働き蜂がチュウーチュウ、せっせと花々から蜜を集め、本来はそれが蜂の子や女王蜂の食べ物や滋養になると云う。
さて、ある時、私が資材の在庫チェックに、ボロ屋(今風に云えば古民家)に入ると、コキタな~いテーブルの上に小汚いものが乗っていた。
ボロ屋の一部を壊したときに現われた、柱のシロアリの巣である。
(冒頭の画像の中央。ボロ屋のキッチンの外壁から現われたシロアリの巣。 ボロ屋は取り壊しまで、1階を資材置き場、そして2階にリゾート建設現場の管理人を住まわせている)
明るい場所に出された今は居ないが、イモ虫の子みたいなシロアリの幼虫が、ゴジャゴジャと入っていたチョコレート色の固まりが見える。
これは、シロアリの巣の”中枢部”なのであろう。
「だれだー!、こんな物を図面を読むテーブルに置いたのは~!」などと、フウテンオヤジは怒鳴ったりはしない。
日本人の常識では変なことでも、この国では立派な理由があることが多いからだ。
それを日本人が分からないだけだ。
文化の違いで、その理由が分からないから、一方的な判断を下し、ミスコミニュケーションが生じる事が多い。
異常と云える日本人ほど勤勉でないフィリピン人が、シロアリの巣を、わざわざ取り外してここに置いたのには、何か理由があるはずなのだ。
よく見ると、柱の巣の下に濃い琥珀色のドロッとした液体が溜まっているようだ。
柱をずらして、観察してみる。
(ボロ机の上にあった柱=シロアリの巣と蜜)
何なのだこれは。
幼虫の入っていた固まりから、半透明な液体?が流れ出たようだ。
興味から、薬指の先にチョットだけ付けてナメてみる。
!!!・・・・・・上品に甘い。
(ナンダコリャ!)
ベロンと舐める。
蜂蜜じゃないか!
え~っ!
シロアリの巣だろ?、これは。
ちょっと頭が混乱する。
「ルイ~ラ~!」と管理人のオバチャン(と云えども私よりずっと若いが)を呼ぶ。
説明を求めると、ルイーラも自信がないらしく、最年長の作業員:ゴディンを呼んで確認すると。
(ゴディンの)話によれば、シロアリもミツを集めるか、作るかする・・・らしい。
ウソかホントか定かではないが、事実、ここに在るからしかたないのだ。
ゴディンに罪?を着せたルイーラは、「ほ~ら、」と言わんばかりに、そのチョコレート色の固まりをつかんで指先で絞る。
とたんに、ツゥーッと蜜が垂れる。
ヤレヤレだ。
世の中には、まだ知らないことが多すぎる。
しかし、ハチは花から蜜を集めると言う。
この蜜の出所は・・・????
これはハチ蜜ならぬ『シロアリ蜜』か?
ここが熱帯で、白アリが年中活発だからか?
いずれにしろ、珍なるものである。
皆さん、"シロアリの蜜"、ご存知なかったでしょう?