ビーチボーイ&ビーチガールのクロニクル

南国ビーチで、ゼロからリゾートを建設し、営業し暮らした記録です

き真面目な人達


時々強い雨が降っていたので、これじゃ全員サボってるなと確信しつつ、タガが緩まぬよう、気合を入れるために現場に来た。








予想通りに現場は見渡す限り、誰もいない。 


1分も待つことなく、アタマのエリックが不思議と何処からともなく現れた。
月光仮面か!お前は。
しかし、ちょっと酒クサイ。



そろそろ現場慣れしてきたので、サボり癖が出てくる頃かと予想していたが、見事的中なのだろうか。
しかしこの国では、怒りを露わにすることは、愚の骨頂である。
どんなにダメな人間でも、プライドだけは異常に高いからだ。
荒い言葉で叱ることは、絶対すべきではない。



「どうしたの~?」
「エリックちゃ~ん、ここ誰もいないみたいだけど~?」。


エリック(申し訳なさそうに)
「雨がすごくなってきたので、2時で上がっちゃった。」
「今日のDTR(仕事の記録)は2時にしてある。」
「アイムソーリー、今日出来なかった分の時間は、今週の残りの日に昼休みをちょっとずつ削ってアジャストするから。」
普通のフィリピン人は、『I'm sorry』というセリフは、めったに言わない・・・。


しかもそのあとの言葉もちょっと信じがたい。



そこにオバちゃん管理人の旦那(こちらもかなり酔っている)も加わり、工事人達が、いかに真面目にギリギリまで仕事したか、しつこく力説してくる。
酔っているので、何度も同じ事を繰り返す。


トゥバ(やし酒)臭さに閉口するが、かばい合うのは見苦しいものではない。
それではと手書きのタイムレコードを確認すると、ホントに2時までとなっている。


????????
ひょっとするとこの連中は、本当にマジメなのだろうか?
今までのリゾートで、今まで私が付き合ってきた工事の職人達は、外仕事の場合雨が降ると『天の恵み』、神様サンキューとばかりに半日でもゴロゴロして、給料だけは要求する、という扱いに苦労する連中ばかりだった。
それなのに、この連中は正直に2時までと記録した?
この人達、突然変異、なのだろうか?



私、「エリック、オマエ酒代足りないだろ~が。これでみんなにもう一杯ずつ飲ませてあげな!」


あれー、またあげちゃった。
なんとなく変な感じ、そんな気分で帰りのバスに乗る私であった。
薄暮の大雨の中、突っ走る満員のバスの中で、私はキツネにつままれた気分だった。


そういえば、日本には『狐雨』という言い回しが、ある。

最初の給料日&伊東四郎第2弾


(当時の最初のメンバーです)


今日は工事人たちの最初の給料日。
職人は日当いくら計算で、毎週末が給料日だ。
考えてみると、今までマネージャーとしては人様に給料を渡したことはあるが、“EMPLOYER”、「雇用者」として給料を他人様に渡すのは、人生で初めての経験のような気がする。
そう、私にとっても今日は記念日だ。
ちょっと偉くなった気がする。
とは言え、計算する人、渡す人は私の奥様のMである。
私はと言えば、人に給料を渡すようなことは、何となく照れくさいし、面倒くさいのだ。



ところで例の伊東四郎のオヤジが、またチャチャを入れてきた。


先日、我々の敷地に水道を引いたのだが、水道局の工事係が手抜きしたのか、本管から直接取らずに、オヤジの管から分岐させてしまった。
オヤジ曰く、本管とのアダプターは以前に親父が買ったものだから、その費用の半分を親父に払えという。
「この~、くそったれ~」と思ったが、この国では、公共水道のメーターより手前も含め、工事部品はすべて利用者負担のシステムなので、理はある。
そして前にも書いたように、『私はよそ者だ』。
仕方なく払う。
またオヤジにやられてしまった。
初めて見た日に、『このオヤジには用心しないと、』という予感があったがその通りになってきている。


今にみてろー!
ヤラれっ放しではいないよ~