珍魚を追い立てる
干潮の海から見たコテージ1号。
今日は朝7時からビーチだ。
昨日の午後、エンボイ組に、
「明日の朝は、全員で残っているビーチの岩をどかすぞ!」
と宣言した。
2ヵ月半前にやったのだが、フィリピンスタイルの「オグマ、オグマ。」=『また明日、あしたヤロー。』で岩を取り切れなかったのだ。
頃や好し。
本日、月例は19だが、朝の干潮が、マイナス0.4メートルと最大限に引くのだ。
昨日宣言したにも関わらず、朝7時に誰も海に出てない・・・やっぱり。
(一晩寝て忘れたか?)
すぐ海に追い立てる。
早くしないと潮が満ち始める。
ターゲットは沖に向かい左側に残っている3つの岩とその他。
どう見ても7~80キロの岩だが。
8人がかりで運ぶ、うちの連中は力が弱いのだ。
じれったいが、ガマンだ、我慢。
ふと見ると足元に、何かいる?
大きさ10センチくらいのモカ色の魚。
この画像で、どこにどんな魚がいるか判ったら、アナタはプロ?だ。
ハオコゼ科のツマジロオコゼの子供である。
特有の立派な背びれが、水面から出ている。
普段は海底で枯れた葉を装い、外敵の目をくらます甲賀流『木の葉隠れ』の術を使う。
『カワイイ!』のでフォトダイバーにも人気の魚だ。
『隠遁の術』を見抜きズラすと。
しかし、ここは5~7センチの水深だ。
ボ~ッとしていて、潮に取り残されたのだろう。
追うと一応は逃げるが、普段あまり動かない魚なので、悲しいことに、ゆっくりのんびりとしか泳げない。
泳ぐための筋肉が、ほとんどない。
これはマズイ。
彼(彼女?)の将来のために、私は追いかけてあげよう。
彼にとっては、敵から逃げる訓練になる。
♪追いかけてヨコ~ハマ、ツマジロが逃げる~♪
ムフフ、人は時として、弱きをいじめ強きにへつらう、嫌な性格になるのだ。
ひとしきり沖に追って、トレーニング終了。
ツマジロ君は、擬態して敵を避けるばかりでなく、泳いで逃げる手もあるのだと悟ったに違いない。
これは『一日一善』だ。
もうすぐ潮が上げて来るから、日干しになることはないだろう。
ツマちゃん、今度はオジサンと海の底で会おうね!
もう、追っかけないからさ。
エンボイ組と私は8時前には撤収、通常業務のコテージ建築スタート。
これでウチの前の海中の大きな石は、ほとんど取り除かれた。
安心して船が着けられるし、お客さんが海に入っても泳ぎやすいだろう。
前回からふた潮半後・・・・70日後か、やっと決着をみた。
ヤレヤレだ。