ブタをトイレに?・・・の巻
建築許可証も出て、現場は一気に活況を呈してきた。
第一にボロ屋のキッチンとトイレが母屋の予定地にかぶさるので、解体開始。
このキッチン&トイレは後から作られたものらしく、母屋の構造からはみ出すようになっている。
作りも母屋の古典的な木造と違い、頑丈なコンクリート造りで比較的新しい。
それを大ハンマーでどんどん壊していく。
ちょっと勿体ない気もするが。
以前から、職人達にトイレを壊した場合、別な仮設トイレが必要か確認していた。
エリックたちは無くても問題ないと言っていたが、初日の全員ミーティングで新規採用の現場監督「エンボイ」ら15人の増員組は「トイレは欲しい」と言う。
しかも、ボロ屋のトイレの便器も移動して取り付けて欲しいという。
その便器はまだ程度がいいので、新しい家のメイド用のトイレに再利用しようとしていた物だ。
買えば、2500ペソはする代物である。
フィリピンの田舎の人達の中には、トイレも水道も電気も無い家(小屋)に住んでいる家族が結構いる(私も住んだことがある)。
そういう人達は毎日がキャンプのような生活を営んでいる。
フィリピン人は日本人よりそういう面ではずっとタフなのだ。
私:「エンボイ、あそこに囲いを作ってやるから、そこで豚を一匹、飼え。」
エンボイ:「えっ?」
私:「トイレだよ。 みんなの出した物は豚が食べてくれるだろ。」
エンボイ:「???」
私:「そうすれば、深い穴を掘ったり、便器をつけたりしないで済む。予算が無いんだよ。」
エンボイ:(ニヤニヤしてる・・・)
私:「そしてだな、その豚公を工事が完成したら、祝いにレチョン(豚の丸焼き)にするのだ。丸々太ってるだろうから、美味いぞ、みんなで一緒に食おう。 どうだ!こういうのを一石二鳥と日本では言うんだ。」
エンボイ:『・・・・(非常に困った顔)』
私:「どうだ、いいアイデアだろ。日本の現場ではみなそうしてるんだぞ、知らなかったのか?」
エンボイ:『・・・(やや本気にしてきた。)』
私:「冗談だよ。」
エンボイは安心したようだ。
結局深い穴を掘り、その上に型枠を作り鉄筋を入れて、セメントを打って床を造った。
トタンで囲って仮設トイレ完成。
屋根はそのうち掛ければいい。
私が密かに狙っていた便器もつけてやった。
工事完了したら、外してメイド用トイレに回そう。
そういう訳だ、頼むから、便器こわすなよ~。
どこまでもセコイ、フウテンオヤジであった。