お隣さんのヤシの木をぶった切る作戦
さて、南隣りの土地に5本も高いヤシの木(約20m)がある。
(隣の土地側から撮った画像、すぐ横にウチで作ったブロック塀が連なっている)
万一こちら側に倒れると、うちに被害が出る。
買い取って切り倒し、脅威をなくすと同時に現場用ヤシ材木を確保したい。
フィリピンでは、モノを言い値で買うことは稀だ。
いい買い物をするには、調査、根回しとネゴ(交渉)が肝心だ。
当然、「木を買いたい!」とストレートに言うと値段が高くなる。
直接相手と交渉に入る前に調査。
土地のオーナーはアメリカ在住なので、交渉相手は土地の管理人となる。
根回しは、まずうちにとってその木が非常に危険で困っている、と言うポーズでバランガイキャプテン(村長のような人)に相談という形をとる。
村長は、管理人に伝える。
管理人は、オーナーに聞いてみると答えるが、これはブラフ=はったりだ。
バカ高い国際電話代もかかるし、オーナーに伝えれば、木の売り上げを持っていかれる(給料から差し引きとか)ので、実際には電話しない、クチだけだろう。
黙っていれば、自分の臨時収入になるからだ。
思ったとおり、翌日には隣りの管理人がそそくさと木を買ってくれと訪ねてきた。
つかみはOK!
これでこの値段交渉には、こちらが有利に立てる。
「(土地の)オーナーが木は一本450ペソだと言っている」と管理人は切り出した。
5本だと2250ペソである。
これは思ったより良心的な値段でこの辺の相場ではあるが、ネゴはこれから始まるのだ。
(実は、現場では足場用のヤシ材木は、これから山ほど使うので必要だが。)
私、フウテンオヤジは、いかにも高いと言うふうにオーバーに驚いてみせる。
相手には、ざっと考えてみても以下の弱みがある。
* 「売りたい」と言ってしまった事。
* 木の代金を(登地のオーナーから)ネコババしようという、やましい魂胆。
* 低収入なので、金が欲しくてしかたない、これは絶好の臨時収入のチャンス。
* ここで売らずに、もし本当に木が日本人の家のほうに倒れたら、損害を請求される。
* 先に村の長に相談されている。
これらの相手の弱点に付け込みながら、私はアホみたいに安い値段から、しかたなく相手に譲歩していくそぶりで、最後には5本で1700ペソで決めた。
頑張れば、1500ペソ位にも出来たのだが、相手が可哀想になり、私が途中で戦意をなくしたのだ。
(私もここまでなるには、この国で何かとさんざん”授業料”を払わされた過去がある。)
日本人の持つフィリピン人のイメージは悪いが、田舎のフィリピン人の多くは純朴で非常にひとが好い。
おまけに、葉っぱ、椰子の実すべてあげる、こちらは木だけ貰う、と言う相手にとっての好条件まで付けてやった。
政治家には絶対なれない、情け深いホトケ様のような今日のフウテンオヤジであった。
極楽浄土が半分保障されたかもしれない。
問題ひとつ解決。
これで必殺仕事人「(=木こり名人)ヤキヤック親父」を手配すれば、いつでも木はカットできる。