露天風呂給湯の、ドラム缶用の竈⁽かまど⁾・・後編
右はコテージ、左手前はお座敷用キッチン、奥がお座敷です。
さてミサイルは心配ないセブ島の田舎の村、この1週間、暑くて南洋らしい天気が続いております。
前回の続きです。
ドラムで沸かした湯を露天風呂に供給するには、配管がいります。
まさか、ドラムカンの熱湯をバケツリレーする危険なゲームは、いくらフィリピンでもありえません。
ドラムの底に近い側面に、穴を穿ちます。
ドラムは約1ミリ厚の鉄板です。
私は1/2インチ径の普通サイズの水道管のパーツを組み合わせて、出湯口を製作するつもりでしたので。
担当のエリックにプランを話しパーツの実物を渡し、外形は20ミリであることも付け加え。
火があるので、ドラムの外側にはゴムなどの、可燃性のパッキンは使えないと話し。
ドリルとヤスリを貸して、管がギリ通るような、ぎりぎりの穴を開けるよう頼みました。
ところがです。
ウチの職人で、一番ミスが少ないと思われているエリックが、やってくれました。
穴の径25ミリはありそうで、しかもイビツな穴を開けてくれたのです。
これでは、水漏れの可能性が限りなく大きくなるばかりか、ドラム缶の壁に固定することさえ困難です。
私は何か彼に怨まれるような、悪い事をしましたっけ?
そんなことはありません。
じゃ、何故こうなるんでしょうか?
答えは簡単です。
仕事中に、エリックの脳みそが活動していないからであります。
家庭で何かあったのでしょうか。
敢えて、もう、書きません。
しかし、私のプランが窮地に立たされました。
奥様としては、自分が苦労してやっと手に入れたドラム缶が、あっという間にガラクタになりそうな気配で、泣きそうになってます。
私は気を入れ直します。
スタッフのミスを何とかカバーするのが、私の仕事です。
エリックよ、仕事をくれて、ありがとよ。
(忘れない、ゼッ!)
私は二つの代替案を考えました。
ひとつは、1/2インチ径で用意した部品を、3/4インチ径(少し太め)に変更することです。
しかしこのプランは、ボツとしました。
なぜなら、最初の1/2インチの穴を3/4インチの穴に大きくする工程で、たぶんまた3/4インチ以上の穴になってしまう可能性が、高いからです。
そうすると穴は、しまいに限りなく大きくなっていき、始末が付かなくなります。
もうひとつは、出湯口の構造を変えることです。
ゆるくイビツな穴をそのままにして、両サイドを分厚い金属ワッシャー(座金)で押さえて締め付けてパイプを通そう、というプランです。
頭の中で組み立ててみても、これは上手くいきそうです。
問題は、内径20ミリジャストのぶ厚いワッシャーを手に入れることです。
こんな専門的な部品は、当然セブ市まで行って探さないと見つかりません。
しかし、次の買出しのとき、ボルト・ナット・ワッシャー専門店を発見し、見つけました。
錆びてない(こちらでは錆びていても、平気で売ってます)ワッシャーです。
これが使ったパーツです。
右端にある両側にオスネジ、中央にナットのあるカップリングにワッシャーを二枚咬ませ、外からドラムの穴に差し込みます。
ドラム内で、更に1枚のワッシャーを咬ませT(T字継ぎ手)で締めます。
エルボーでもただのナットでも何でもいいのですが、T(ティー)を使ったのは締め付けトルクをかけ易くするためです。
Tはあらかじめサンダーとペーパーやすりで面を綺麗にしておきます。
ドラムの外側は、炎がかかることがありますので、パッキンは使えません。
内部は、水があるので100度C以上には上らないでしょうから、可燃性のパッキンでも使えます。
ワッシャー同士間とドラム壁内面に、お客様から1年前にいただいた日本製のガム状の防水テープを使い、漏れ防止しました。
水を満タンにしてテストします。
仮の栓をしたドラム外側です。
ドラム内側です。
赤色は錆び止め塗料、画像の白いのは、水面の反射です。
一滴も漏りませんでした。
とりあえず成功といたします。
かまどに乗せて配管します。
カマドが出来てから1ヵ月半、やっとドラム缶を乗せられました。
この管は隣のシャワーエリアを通り越して、その先の露天風呂に至ります。
ヤレヤレです。
海側の設備です。
画像左より、器材洗い水槽、露天風呂、シャワー場、そして塀の影にドラム用カマドと並んでいます。
機能的、かつコンパクトに設計いたしました。
さて初露天風呂は、いつやろうか~!