ビーチボーイ&ビーチガールのクロニクル

南国ビーチで、ゼロからリゾートを建設し、営業し暮らした記録です

タイルが逆さまだ


お座敷用キッチンの、北側壁タイルです。


昨日は、昼間ひさびさに雨が降りました。


緑が吐き出すエキスを吸った雨は、いい匂いがしました。



さて、10日ほど前に注文したワークショップ用のココ椰子材木が、昨日やっと届きました。


一昨日は、『もうとっくに届けたと思っていた。』、というすばらしい言い訳を聞きました。


期日を遅れるたびの『明日は届ける』の、いつもの言い訳の繰り返しに、ご本人も飽きたのでしょうか?


とっさの言い訳に関しては、非常に機転が利く人達です。


私など足元にも及びません。


恐れいっちゃいます。


ウチの建設工事も、土地境界の正式測量から数えれば、かれこれ1年半近くなろうとしております。


うちの職人達にしても、元はといえば日雇いの日銭暮らしがほとんどだったのに、今や日本の公務員のように収入が安定しているはずです。


大工や左官職人という彼らも、単なる自称であって、実際にその仕事で収入を得るのは月に数えるほどしかなく、他の日は魚を獲ったり畑仕事をしたり、ブラブラしたりという生活であったはずです。


2,3人を除けば、“プロフェッショナル”とは、ほど遠い“心技体”の『つわもの達』でありました。



クラブハウスを作っていた頃、私は何度『全員、首にしてやる!』と思ったことでしょう。


断面が台形やひし形のコンクリート柱。


見ていると酔ってしまいそうな歪んだ壁。


傾いた床。


窓枠をモルタルで塗りつぶしたり、ドア枠が小さくて、既成品のドアの下部を3センチもきったこと、10枚も。


廊下の端に立つと、遠近法が成立しないのでまっすぐ歩けない廊下。


配管のレイアウトミス。


etc・・・。


そして、やり直すとさらに悪くなる、悪魔的なスパイラル。



私がボケて記憶力が低下しているのが、幸いしています。


そうでなければ、今でも夜中に”ウナセラディ東京”でしょう。


ところがそんな彼らにも、北極の青氷が解けるように、じわじわと変化が現れました。


初めの頃に比べると、上手くなってきているのです。


まるで職人(?)かのように。


仕事がこなせるようになってきました。


たとえば第2コテージの壁などは、凹凸もギザギザもなく、平らです。


床もほぼ平らにセメントを打てましたので、タイルを張るときのセメントの必要量がクラブハウスのときよりずっと少ないのです。


これで彼らは、ウチという“職業訓練所”を出たあとも、どこかの現場で職人として通用するようになった、その程度のレベルには訓練されたのではないかと思います。



とはいえやはり田舎レベル。


2例だけ挙げますと、


タイルが見事に全部逆さまです。





こちらは南側、正しく貼れてます。




コテージ2のシャワーのバルブ(栓)です。



シャワーバルブは、普通の水道パイプのバルブと違い、水の流れの向きが指定されているものが多いです。


上の写真のように、ちゃんと矢印で書かれていますが、これは見事に逆に取り付けています。




どの場合も、材料を渡す時に、ミスすることを想定して説明しているにも、かかわらずです。


情けないやら何やらで、私の膵臓のガン細胞も、音も無くジワジワと増殖していく気がいたします(←本気にしないよう)。


私の頭の中にある、“ホントにダメな人達だ計”、の針のレベルが80%をきったことはこの1年半でほとんどありません。



私もそれほどのバカではありませんから、


ミスを数えてはいけないのだ!


彼らが上手くやった事、キチンとできた事に目を向けるべきだ!


と思い直し考えるのですが、そういう事がめったに無いのですから、困りものです。


気が休まらず、抜け毛が多く、白髪が増えます。




今月初め、3日ほどダイビングをする機会があったのですが、そのときだけは夜ぐっすり眠れました。


しかし、残念なことに、水中世界は人が潜れば潜るほど、傷つき汚れていくのが常であります。


その理由のひとつには、案外、水中で人が呼吸と一緒に吐き出す、浮世の憂(う)さや、穢(けが)れのせいがあるかも知れませんね。



とにかく、毎日同じ場所に潜っていれば気が付き難いのですが、1年ぶり以上とかである同じポイントに潜って、『前よりキレイになったなぁ』なんて感想を持つことは、海に潜ってウン10年、まずありえません。



ほとんど、おじさんやおばさま方の、“初恋の人との再開”と同じでしょう。


『ありゃ、まぁ~!』


『どうしちゃったの?』


『いつの間に?こんなになっちゃってぇ~、(ひで~な、こりゃ)』





常日頃、お世話になっている“海の神様”にあらためて感謝の意を表します。

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