ビーチボーイ&ビーチガールのクロニクル

南国ビーチで、ゼロからリゾートを建設し、営業し暮らした記録です

職人たちが行方不明に

誰もいない現場、右が1号コテージ。




今日はコマゴマとした建築資材の買出しでした。


奥様は帰りの船のちょっとした時間でも、自分も舟をコイデおりました。


毎日の生活のほとんどが、リゾート建築の御為となって10ヶ月。


さらに奥様の場合は家事、育児もあり・・・疲れも溜まっているんだろうな~。




私フウテンは、年の功?


少々きつくても、『ペース配分』と云うものをわかっているつもりですが、奥様は、自分のレッドゾーンまでアクセル踏んじゃいます。


・・・苦労をかけてます。




と殊勝なコメントをした後で・・・なんですが。


車やバイクに親しんだ諸兄は、ご存知ですね。


高性能エンジンは普段からブンまわしておかないと、ここ一番といった時に回らなくなります。


そこで。


奥様よ、君の限界、レッドゾーンはもっと先だ、上だ!


まだまだ、行けるぞ~!






さて、昨日のことである。


いつものように、朝7時の作業開始前にはすでに全員が現場に集まり、寛いでいる。


フィリピン人にはあるまじき正確さ、勤労意欲?・・・・か?



7時と同時に全員が持ち場につき、働き始める。




スッキリとした青空の下、人がセッセと働くのを見るのは、実にいい気分だ。


朝から清々(すがすが)しい!


六根清浄、お山は天気だ!



自分がその中に居ないのが、これまた心地よい。


他人が働き、自分は見てるだけ。


「ヨッシャーッ!」


これがイイのだ。




と言うのは半分冗談。


私は、全員の作業に必要な材料が揃っているかどうか確認して、手当てし、明日の工程の資材で無いものは注文し、或いは買い出しリストに加えたりと、朝はバタバタする。



一段落すると、次の工事や工程のプランを練って図面を引き、資材材料の入手の段取りとか、もっぱら身体でなくボケた頭を使っている。


力仕事は精神的なストレスが貯まらないが、彼らと一緒に肉体労働したら、筋肉痛で余計眠れなくなっちまう。


特に今は1号コテージの仕上げ段階なので、資材調達が細かく厄介だ。



『セメント何袋に、砂、砂利をダンプ何台』、とか単純でない。


『シャワールーム用の、このタイプの幾らぐらいの蛇口を一個とか』、『キャビネット用の何型のヒンジ何セットと、何インチの木ネジ何本』とか、多品目を、不便なこの国で、効率よく揃えないとならない。


マァそれが今の私の仕事だし、そんなに嫌いじゃないので苦にはならないが、ちょっとグチリたいだけである。



さて奥様の手作りお昼を食べて、午後1時。






「えっ!」


・・・・・職人達がいない!





1時過ぎても、誰もいない・・・・・おっと、一人いた。


ペンキ塗り職人の、ギョロ目のCだ。


私:「オ~イ、Cよ、みんな何処行ったのだ?」


C:『よく知らない。』




彼は皆が何処に行ったか知っているし、実は私も知っている。


彼がそう答えるのを予想して、私もただ聞いただけだ。



今日は管理人のオバチャンが、自分の村(=隣村)のフィエスタ=お祭りということで休んでいる。


つまりオバチャンに招待されて、みんなで昼飯時に押しかけたのだ。


そして当然食事だけでは済まず、酒が入る。


仕事のことは頭から飛んでいき、時間になっても帰って来ないと言う、典型的なフィリピンスタイルである。


(これは、プーチンだろうと習近平だろうと止められない)


ギョロ目のCが行かなかったのは、酒が飲めず、また性格的に、そういう席があまり好きでないからだ。


午前中に捏ねてしまったセメントをCに始末させ、今日は、戻ってきても仕事は無し(半日終い)とした。




午後4時半になり、みんな顔を赤くして『ゴメン、ゴメン!』と申し訳なさそうに帰ってきた。


酒の誘惑に人一倍弱い大工の巨匠:Dは、酔いつぶれたようだ(・・・戻らなかった。)



日本人の感覚では、仕事中の昼飯時に皆で酒を飲んで帰ってこないなど、不届き千万であるが、フィリピンの田舎ではしかたないことだ。


まして『フィエスタ』。


ラテン系?の此の国で、『フィエスタ』は何よりも優先する。



かく申す私も、この国で、かつてお金がなくて、ロクな物が食えなかった時期があった。


フィリピン人の仲間たちと一緒に、相撲部屋のチャンコじゃないけど、残り物をゴチになっていた。


(比国人の仲間が、『今日どこそこで何がある』という情報を仕入れ、そこに押し掛けるのだ)


ご馳走にありつけるし、人脈も出来る。


フィエスタや誕生祝い、子供の洗礼、結婚式、ナンタラ記念日に出される、振舞い料理や酒が目当てだった。


『共済組合』というか、こういう”原始共産主義的”な田舎スタイルには、大いに助けてもらったのである。




だからこういう習慣は理解できるし、怒りにくい。


しかし、問題点はある。


誘って酒を飲ませたのが、同じくウチから給料を貰っている、管理人のオバチャンだということ。


そして、始業の1時を過ぎても連絡が無かったことである。



まぁしかし・・・とにかくここは日本ではありません。

×

非ログインユーザーとして返信する