ボロ屋の正体は?
「ボロ屋」、「ボロ屋」といつもこのブログで書いているが、そもそもこのボロ屋は何なのか?
それは・・・・
* この土地の前の持ち主ファミリーが住んでいた住宅。
* 築60年ほどか?
* 近代フィリピンの伝統的な様式で建てられている。
* 2階建てなので、当時としては(いや今でも田舎では)高級住宅。
(「ボロ屋」と言ってはいるが、普通の庶民の家はもっともっとボロだから。)
* そのファミリーは医者を2人出しており、地元では有力者一家だったようだが、今はほとんどが(州都である)セブ市に住まいしている。
* 従って長いこと空き家状態。
この土地を購入したとき、当然だがボロ屋は付いてきた。
近所の住民が掃除など管理していたが、ご他聞にもれず、2階はお化けが出るという評判の空家である。
私などは想像力が乏しいので信じないが、思うことは、もしお化けがいるのなら捕まえて見世物にすれば、ビル(ゲイツ)の半分くらいの資産家になれそうだ。
だからぜひ一度お近づきになりたいと願っているのだが、そういう人間にはあちらも姿を現さない。
私が怖がらないからつまらないのか、新管理人のルイーラも最近はお化け話をしない。
さてこのボロ屋、いずれ解体される運命だ。
そこで今のうちに中をちょっとご紹介。
二階の窓である。
まずウン十年の汚れが付いているのでちょっと汚いが。
やたら細かい障子のように見える。
これこそ古代(?)フィリピン人の大発明。
カピス(という名前の貝)・ウインドウである。
障子のようにスライドし開け閉めできる。
硬く木目の美しいトゥガス(たぶん)と呼ばれる木で枠を作り、カピス貝を薄くそいだもの(光が通る)を嵌め込んである。
カピス貝は、フィリピンのカピス地方の特産物だとか・・・。
日本では高級ランプシェイドなどで目にすることがある。
ご覧のとおりに耐久性も高く、1枚1枚模様が違い透過する光が微妙に和らげられる。(写真の黒っぽいのは汚れ。)
今ではカピス貝もトゥガスも保護されて、手に入りにくい。
蛇足だが、このボロ屋のカピス・ウインドウで程度の良かったのは、土地売買に際し、管理人が交代する「空白の2日間」にハゲタカに遭い、全部持っていかれてしまった。
1階の木製の窓。
同様の構造のガラス製の窓はフィリピンではジェラシーウインドと呼ばれるが、日本でもよく小窓などで目にする。
しかしボロ屋のジェラシーウインドは、木製なのだ。
木の板から1枚ずつ羽を削りだし、サイドの波目模様も1枚板から削ってある。
作りが良いから、何十年も経た今でもかっちりと閉まり堅牢だ。
フィリピン人も日本人同様、昔の人のほうが器用だったのか。
この熱帯でシロアリも多いのに、よくもっているものだ。
他にもステンドグラス調のガラスの高窓、素朴な彫刻の木製階段&手すり、溶接が普及していない時代に、懇切丁寧に作られたデザインの美しい窓下の鉄飾り、など見ものは多い。
また全体的に、古民家特有の良い木材が使われている。
古き時代の良き建物である。
世の中、かたちある物は必ず滅びる宿命だが、このボロ屋、あと何ヶ月の命なのか。
利用できるパーツは残して、再利用したいと考えている。