ビーチボーイ&ビーチガールのクロニクル

南国ビーチで、ゼロからリゾートを建設し、営業し暮らした記録です

美味・・・スマカツオ

スマを持つフィリピン1号。


スマと言っても、あのスマップではありません。



(=10数年前の今)、ウチに日本からお客様がいらしています。


ダイバーの方です。


ところが、ウチはまだ開業しておりませんし、タンクもボートも無いのでダイビングは出来ません(今回のお客様はご承知の上、おいでになりました)。


「ダイビングしたい!」という方は、今しばらくお待ちくださいませ。


と言ういつものセリフで申し訳ないのですが、日本とは時間の進み方が違います。


『出来た時が、出来たとき』でございます。




フィリピンでは、“焦り” “怒り” “叱り” は禁物です。


これらは日本でも同じでしょうが、特に外国ではよくありません。


私は気が短くせっかち、典型的な“江戸っ子”ですので、毎日ほとんど胸中は、怒り、焦り、叱り、が渦巻いているのですが、外にはブチマケません。


じっと我慢しております。


私がそのような負の感情を出す相手は、広い心と太い腕でガッシリと受け止めてくれる、奥様だけでございます。




さてさて、日本人は刺身が好物。


ウチのような海沿いに来ると、条件反射のように『サシミだ! サシミだ~! サシミが食いたい!』となる。


そこは日本人同士、口にしなくとも、阿吽の呼吸であります。




午後いちで、管理人オバチャンL(以下ルイーラ)に申し渡した。


「1キロ以上の、釣りたての魚を手に入れるのじゃ!」


と言うミッションである。


『イエッサー!、ガッテン承知ノスケだわよ。』


とルイーラは、黙って何処かへ行ってしまった(仕事中だがまぁ普通)。


おいおい、お庭番じゃないんだから、風のようにどっかへ行くなよ、仕事はどうするんだよ~、チョットチョットあんた~。


と思ったが、もう姿は無い。



暫らくすると、海辺の石垣上に佇むルイーラを発見。


フウテン:「魚はどうした?」


ルイーラ:『今釣ってる。』と沖を指差す。


沖にはルイーラの旦那とオジサン2人、計3人。


3艘の小型舟が、波気のある海をトローリングしている。


(なんか大ごとになってきた。50キロのバショウカジキとか持ってきたらどうしよう、と少し心配。)


視力4.0くらいの目で、じっと沖を見つめるルイーラ。


『釣れ~、釣れ~』神様お願いと念力を送っているのだ(←冗談ではなく本人は真剣です)。



ルイーラ:『今日は波があるから、ダメかもしれない。』



当たり前のことだが、スーパーに買い物に行くのとは違い、必ず釣れるとは限らない。



(ゆったりとウネル海はトローリング向き、波気があるとダメというのは私も体験している)


作業終了の5時が近づき、現場を一回りしていると、いつの間にかルイーラもいなくなってしまった。



5時、職人たちが帰っていく。


ところが、入れ違いにルイーラがゲートを入ってきた。


満面の笑みで、カツオをぶら下げている。


いかにも獲れたて。


丸々と太り、青銀に光り、死後硬直でカチンとしている。



フィリピン1号とスマカツオ。



カツオと書いたが、この魚は“スマ”です。


つまり、日本でいう『本』カツオではない、”スマカツオ”です。


何故ならカツオの証しの腹の縦線が無いし、胸ビレの下にスマであることを主張する黒い点が幾つかあるからです。


名前のゆえんはそれ、お灸の後のような点々。


お灸は『ヤイト』とも言うので、スマカツオは別名”ヤイトガツオ”。


(ほかにウチの前では、平ソーダ、丸ソーダなど小さい『カツオ』も釣れます)




ちなみに魚の縞の縦と横は頭を上、尾を下にしたときの状態で言います。
したがって、本カツオのように、エラの下から尾にかけて線が走れば、それは“縦ジマ”となります。


(上のことは、勘違いしている人が多いです)





本カツオだろうが、スマだろうが、獲れたてのカツオの刺身は美味であります。


個人的には、スマのほうが旨いと思っています。




誠に図々しくも、お客様にさばいていただきました(ご希望されたので)。


おろしニンニクとおろし生姜で大人3人幼児1人、怒涛の勢いで2.5キロの魚の刺身を完食いたしました。


胃の中で、サシミがビールと日本酒の海を泳いでおります。


ナカオチとアラは、うちのお犬様用として茹でました。




“ポリスとロイヤー”のうちの犬達は、魚のぶっ掛けご飯がドッグフードより好きです。


バクバク食べております。


ロイヤー




ポリス

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