ビーチボーイ&ビーチガールのクロニクル

南国ビーチで、ゼロからリゾートを建設し、営業し暮らした記録です

完成検査??か・・・?

(物置として活躍中、敷地内の2階建て古民家、通称『ボロ屋』)




家を建てようとすると、様々なお役所関係の書類を整えることが条件なのは、フィリピンでも日本でもそうは変わらない。


中でも一番大ごとなのは、日本も同じだがビルディングパーミット(日本で言う建築確認申請書)。


これは半年前に、金と手間と時間をかけて取得した。


これは自分達だけではやれない。


添付する大判の青写真が、人に頼まないと出来ないからだ。





そして”CERTIFICATE OF OCCUPANCY” (建物に住んでよい許可というか、まあ日本で言う完成検査にあたる。)これも重要だ。



確認申請のときには、我が奥様のお陰で、普通の日本人(=外国人)よりはずいぶんスムースに取得できたが、完成検査も油断がならない。


準備と根回し、押しが肝心、油断大敵だ。


そこで役立たずのフウテンは脇から、あ~だ、こ~だと言うだけだが、カッコよく言えば”参謀”だ。


実際の渉外・外回り担当は、奥様が担当だ。


建物に電柱から電気を通すには電力会社のセビコ(cebu electric cooperative,inc.)に申請する。


その申請に上記の完成検査済み証のコピーを添付する。


したがって、普通は完成検査証が無いと電気が引けない。




ところが、クラブハウスの場合は、まだこの完成検査証が無い。


敷地内に冒頭画像のボロ屋という家があったので、配線を延長し料金さえ払っていれば、敷地内の電力には困らないからなのである。




但しメータなどの設備の名義が、ボロ屋に住んでいた旧住民名になっており、そのままでは後々何か面倒が起こるかもしれない。


名義変更を検討したのだが、お役所の手続きが大袈裟でかえって、新規申請のほうが簡単に済みそうなのだ。


それに電線も細すぎる。


ここは見栄を張って、100アンペアの太い電線をおごりたい。


古いメーターは、そのまま料金を払わなければ電気を止められるので、ほおって置けばいいらしい。
(この話はフウテンとしては、チョット引っかかるが。)




しばらく前に、そのセビコでも働いているうちの電気工事担当のSが、


『早く完成検査を受けて、正規の電線を引こうよ。』


『必要なエンジニアのサインなんか、オレがするから大丈夫だ。』と急かした。


(彼は早く電気工事を終了させて、全額の支払いを要求したいのが本音だ。)



しかしこの段階では、まだ完成にはほど遠かった。




小手調べ、モノは試しと、市役所に行き申請すると、担当者が現場を見に来てひと言、


『まだ終わってないので検査は出来ない。』・・・・・やっぱりだ。




Sめ!


ホント、フィリピン人、全員とはいわないが、いい加減だ。


小手調べはやはり不発だった。


その後に奥様が役所に行き調査すると、やはり電気工事に関してはセブ市にいるエンジニアのサインが必要。


工事全般についても現場責任者である建築士のサインを貰ってきて・・・云々だ。


やはりSのサインなんか、屁の役にも立たないのだ。



本音と建て前というのか、ウラとオモテというのか知らない。


しかし、6ヶ月前に私のプランを青写真に仕立てたのは、図面屋(無資格)で建築士ではない。


サインだけが有資格の建築士という、いかにもフィリピン。


私の今までのこの国での経験では、その建築士も図面屋も現場のスーパーバイズを頼むと、高いお金と、ウラで資材店からのコミッションを取るだけで、実際は1日10分かそこら居てすぐ帰るだけだ。


私は彼らに何も期待していないし、捨て金を払って頼む気はさらさらない。


軍資金の無駄使いだ。


現場は奥様と私ですべて仕切っている。


建築士のサインが必要だというが、元々建築士は図面屋の書いた図面にサインをしただけで現場は見ていない。


今回も、用意した建物の仕様のディテールを記入した申請用紙に(現場も、書類も見ずに)サインするだけだ。


電気技師も同様だ。


我々は、彼のカオも名前も知らない。


彼らは、目の前に置かれた紙の「ここ!」といわれた場所にサインするだけで、高額の収入を得ている。


(彼らは、腐った?エリート階級?なのだ。)





奥様があちこち奔走して、どうにか書類を整えた。





(以下は奥様からの伝聞である)


そしてセカンドトライ、奥様は不安と共に役所の担当者に書類を提出した。


すんなり受理されるかな~と思っていたら、え~っ、いきなりターゲットの


『“CERTIFICATE OF OCCUPANCY”の用紙』


が出てきたのだ。


(おいおい、発行されるのか、今ここで? 建物の検査は? しないのか?)


(まだ全然できていないので、検査されても困るが)



用紙にタイプを打つ事務官が、


『いつ工事が終わったことにしようか?  日付は?』


と聞いてきた。


心の準備がなかった奥様は、


奥様:「・・・?」


担:『(明るく)じゃ、今日の日付にしておこう。』


(カチャカチャとタイプを打つ。)



担:『ハイッ! 940ペソ。』



ナントすばらしい!いい国だぁ~! フィリピン。





上がそれだ。


なんてこった~!




上手く行き過ぎたときは、あとが怖い。


よくあるパターンで消火器の押し売りとか・・・この国でもあるのだ、気を付けよう。




*また田舎やジャングルの住民の家の場合、地縁血縁さえあれば、木造平屋なら、建築確認申請も完成検査もいりません。その代わり、水道も電気も普通に無いかも。
以上は他の記事同様、10数年前のフィリピンの田舎の話です。

エクステリアのバルスター

(近所の民家のテラスのバルスター)




テラスは、大抵は家の入り口の横(玄関ポーチ)にある。


家族や近所の人が集まり、飲んだり食ったり、ゲームやおしゃべりしたりする、社交場でもある。


セメントのまま、塗装していないので見栄えは悪い(かも知れない)。


バルスターの上のセメント部分に、人が腰かける。


20年も経つと、人の脂と汚れで黒光りしてくるのだ。







『バルスター=baluster』という言葉は、日本ではあまり馴染みがないようだ。


和約をみると、=『手すり子』?・・・ホント?、知らない言葉だった。



セメントバルスターの2階テラスやベランダ、玄関ポーチ、階段などがある家は、そりゃ東京あたりでは億の値段が付いているだろうから、住む人もそれなりの収入のある人であろう。


だから私ごとき、ろくでなしのフウテンなどは、金輪際、縁がなかったはずだ。



ところがどっこい、ひょんなことでフィリピンそして当地セブに来て、バルスター様とお付き合いできるようになった。


フィリピンでは、極貧民層は別として、そこそこ安定した収入のある家では、バルスターのポーチぐらいは、だいたいもれなく付いているのだ。



ついでに言うと、家の広さも結構なものだ。


よく聞く話に、金持ちのはずの日本人がフィリピン人の家を訪れて、「この家のリビングにオレの家がすっぽり入る。」などと感心したりする。


が、確かに月収2~4万ペソ(5~10万円=10数年前当時で)もあれば、フィリピン(の地方)では100~200㎡くらいの家には住んでいるのだ。


(但し日本の家のほうが、狭くても小ぎれいで、高価な物がたくさん詰まっている。)



50年も前に、日本の住宅は『ウサギ小屋』であると、くちさがない外国メディアが伝えたが、今にいたっても大差ないかも。





さてさて、クラブハウス2階テラスのバルコニーだ。


計画の当初から、私はそこにボロ屋のアイアングリルを転用するつもりだった。


サビを落としペンキを塗れば、いい味が出ると思う。





上が前にも紹介したが、ボロ屋の鉄製のグリル、約50年を経ている。


ハンドメイドだ。



そしてこのプランは、つい最近まで奥様も承認していた。


♪あぁ~、それなのに、それなのに、ネェ♪・・・(この続きを知っている方はフウテンよりお年が上です。)



・・・ここに来て、『あれじゃ、ヤダ~。』と言い出したのだ。



女はかってな生き物だ。


大東亜戦争末期に日ソ不可侵条約を破り、満州に進行してきたソ連赤軍と一緒だ。


裏切りロスケ、鬼畜米英だ!




しかし,私は奥様あってのフウテン。


私はアヒンサー、マハトマー・ガンジーだ。


一切の抵抗無しで、「イエス、マーム!」と即座にセメントバルスタープランに賛成した。



早速、あちこちにバルスターの値段を聞いてみる。


言ってみればセメントの棒(鉄筋入り)であるから、重過ぎて自分で買いに行き持って帰ることはできない。


いつもの資材店では一本120ペソという。


サンプルを配達のついでに持ってくるよう頼んだ。



そうこうするうち、近所のおばさんのような早耳エンボイが、


『ロッキーがバルスターを自分で作って売ってるぞ。一本80ペソだ!』


と言ってきた。


ロッキーといえば、シルベスタ・スタローンじゃなくて、何度か書いているウチの左官のNO .1だ。



資材店から3タイプのサンプルが来ると、エンボイがちょちょっと近づいてきた。


私が聞きもしないのに・・・


『ダメダこりゃ、表面がスムースじゃないし、高~い。』


『ロッキーのは、表面がなめらかだ。』



とあたかもロッキーの営業マンのように売り込む。


全く面白い男だ。


それともコミッション狙いか?


ロッキーは正統派の職人らしく、ついては来たが、ほとんど喋らない。


エンボイの言葉は当てにならないので、私がロッキーに聞くと、


『俺のほうが滑らかに出来るし、デザインも多いだろう。』


と小声で控えめに言う。




ヨシ、決まり。


もともとロッキーはクラブハウスの工事が終わっても確保したい人材なので、彼に儲けさせる事にした。


バルコニーに何本使うか見積もると、21本。


一本の予備を加え、22本、=1,760ペソ(約4,400円)=全部当時のレートです。


これに、レールとベースの鉄筋&セメント、ペイント、型枠用ベニヤなどの材料費と人件費を計算すると13,000円(=無論10数年前レート)以内か。



フ:「ロッキー、明日サンプル持ってきてくれ。」


そして持ってきたのがこれだ。





次回に続きます。